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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 夏季フォーラム2021後の記者会見における十倉会長発言要旨

2021年10月1
一般社団法人 日本経済団体連合会

【夏季フォーラム】

今年の夏季フォーラムでは、会長・副会長、議長・副議長がリアル形式で一堂に会し、重要テーマについて踏み込んだ議論を行った。折りしも自民党の岸田新総裁が誕生し、日本の大きな転換点を迎えるタイミングでの開催となった。2日間にわたる白熱した議論の結果を総括提言「サステイナブルな資本主義への転換を加速する」に取りまとめ、わが国の指針を提示した。

【総括提言】

わが国が向かうべき方向性と克服すべき課題について、①Society 5.0実現に向けたDXのスピードアップ、②GXに向けたグリーン成長の創出、③産業構造の転換を見据えた働き方、人材育成、④人口減少による社会構造の転換とサステイナブルな日本社会、を柱に整理し、提起した。経団連は社会性の視座を堅持しつつ、社会変革の旗手という気概で、政府との連携の下、国民、社会の支持を得ながら、これら課題の実現に取り組む決意である。

【岸田自民党新総裁、党役員人事】

岸田総裁は、強力かつ多様性のある党役員人事を発表された。党役員がチームとして岸田総裁を強力に支え、政策が着実かつ迅速に実行されることを期待している。岸田総裁は国民の声を聞くリーダーでありたいとおっしゃられている。党人事についても、チーム内の対話を密に、一丸となって国難に立ち向かうお考えから、それを可能とする陣容を整えられたと認識している。

【DXの加速】

デジタルトランスフォーメーションは、多様な価値を尊重し、誰一人取り残さない社会を実現していく上でカギとなる。コロナ禍で日本の周回遅れが浮き彫りとなった。しっかりと対処していかなければならない。

新設されたデジタル庁には民間の知恵が不可欠であり、政策遂行に向け、庁内での官民による侃々諤々の議論を期待している。デジタル庁は総理がトップで、国の情報システムに関する予算を一括計上する機能を有しており、心強い。経団連もデジタル庁が力を発揮できるよう、引き続きサポートしていく。また、デジタル臨調の設置を視野に、官民の密接な連携で、社会全体のDXを早急に進めていかなければならない。

【経済政策】

〔岸田総裁が示唆している数十兆円規模の経済政策について問われ〕疲弊している日本経済を短期間に立て直すという、岸田総裁の強い決意のあらわれと承知しており、期待している。財政規律への目配りは当然必要であるが、この点、岸田総裁は日本の財政事情に精通しておられる。物事にはタイミングというものがある。重要課題であるDX、GXにしても、市場原理だけで進められるものではなく、政府の果たす役割もある。岸田総裁は、そのために必要となる産業政策を複数年度にまたがる予算で実行したいとおっしゃられており、進展に期待している。経団連の考えを伝えていく。

【地方創生】

〔今回の夏季フォーラムのテーマに地方創生が入っていない理由について問われ〕常に念頭に置いて取り組んでいる。今回のフォーラムのテーマであるDX、GXを例にとっても、地方創生とは密接不可分な課題である。DXには行政のデジタル化が不可欠であり、その推進にあたって、地方の視点は欠かせない。行政、災害、健康を扱う現場は公共データが数多くある。デジタル化にあたり、中央と地方をつなげる形でのデータ基盤の整備が必要である。また、GXについても、再生可能エネルギーを議論する上で、地方がかなり関係してくる。地域分散型の電力も考えなければならない。このように、今回のフォーラムのテーマであるGX、DXの推進にも、地方創生は大きく関係している。

【対米、対中外交】

〔対米・対中外交で岸田総裁に期待することを問われ〕岸田総裁は外務大臣も長く務められ、外交面でも政策通である。対米関係では、安倍総理がトランプ政権時代に日本のプレゼンス向上に大いに貢献された。菅総理はこれを見事に継がれ、G7や米国との関係において非常に重要な役割を果たしてこられた。岸田総裁にも是非引き継いでいっていただきたい。日米同盟は日本外交の基軸である。日米両国はまた、自由、民主主義、法の支配、人権といった普遍的価値を共有している。日米同盟を堅持し、日米関係をさらに強化、深化させていたただきたい。

中国との関係については、競争と協調(Competition with Cooperation)ということであろう。中国と米国は全てにおいて対立しているわけではなく、中国は、米国、世界と経済的につながっている。中国なしに世界はやっていけないし、世界なしで中国は成り立たない。中国は日本とともにアジア、世界の繁栄を担う立場にある。

【カーボンプライシング】

カーボンプライシングについて、炭素税を容認するか否かという見方がなされることがあるが、その捉え方は正確ではない。カーボンプライシングの本質は、外部不経済として取り残されてきた地球温暖化を、市場制度による価格付けによって抑制することである。炭素税、キャップアンドトレード型のETS(排出量取引制度)、自主的クレジットなどを含め、成長に資するカーボンプライシングを幅広く検討するとともに、日本社会全体で行動変容が起きるような仕組みについて、オープンな議論を深めていくべきである。

【柵山副会長の経団連副会長辞任】

品質管理に関わる不正といったことは、日本の製造業の強みである品質保証を揺るがす問題である。調査委員会の報告書を踏まえ、再発防止に取り組んでほしい。経団連としても、これまで以上に、この問題について真摯に向き合っていく。

今般、柵山正樹三菱電機会長より、経団連副会長(委員長を含む)の退任(10月1日付)の申し出があり、経団連としてこれを了承した。三菱電機は、3カ月間、経団連活動を自粛することとなった。

以上

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