一般社団法人 日本経済団体連合会
【B7ワシントンサミット】
ワシントンDCで開催されたB7サミット(2/3~4)では、米中対立への対応、不公正貿易の防止策を中心に議論が行われ、多国間の協力を通じて公正な貿易環境を整備することが重要との認識で一致した。そのためにWTO改革を推進することにも合意した。また、ダボス会議で話題になったステークホルダーキャピタリズムにも議論は及び、社会に貢献する企業活動のあり方について意見を交換した。
【新型コロナウイルス(COVID-19)】
現時点で、新型コロナウイルスの日本経済への影響は不明である。政府には引き続き、緊急の隔離政策や水際措置など万全の対策を期していただきたい。官民が力を合わせて取り組む必要があり、経団連も協力していく。
【Society 5.0とインダストリー4.0】
「Society 5.0」を第5次科学技術基本計画(2016年1月策定)で打ち出すよう提案した際、インダストリー4.0を強く意識していた。当時、ドイツや米国は、産学官が一体となり、国家プロジェクトとして、デジタル技術を活用した産業のイノベーションを実現しようとしていた。
その後、デジタル技術は社会課題の解決の鍵である、という経団連の考えに政府の賛意が得られ、Society 5.0という日本発のコンセプトは成長戦略の柱となった。これは国連が提唱する持続可能な開発目標に貢献するものでもあり、経団連は「Society 5.0 for SDGs」と位置づけた。それがいよいよ社会実装に向けた取り組みを進める段階まで来た。デジタル化という点では、産業力の強化を企図するインダストリー4.0と共通するところもあるが、Society 5.0は、グローバル規模での産業構造の転換、社会の変化にまで視野の及ぶものであり、それ故、国連のSDGsともつながっている。
最近、諸外国もデジタル化を前向きにとらえ、デジタル技術を様々な分野に活用していこうとしている。インダストリー4.0とSociety 5.0は対立するものではなく、切磋琢磨する面もある。
【インターンシップ】
インターンシップの意義づけについては、経済界と大学の双方で様々な意見がある。就業体験を伴わないワンデーインターンシップは、本来就業体験を目的とするインターンシップに該当しないという声もあれば、インターンシップは、働くとはどういうことかを学ぶ勉強の一環であって単位認定すべきとの意見もある。他方、大学院課程の一環として実施する有給のインターンシップにしてはどうかという意見もある。「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」において大学側と協議し、日本の高等教育におけるインターンシップのあり方を再定義していきたい。
【米国大統領選】
連邦議会選挙も含めて、現時点で先を見通すことは困難である。したがって、11月の大統領選挙が終わるまでは、米国が重要な決定をくだすのは難しいのではないか。
【日本の製造業】
将来的に日本から製造業がなくなることはないが、製造業のあり方は変わっていくだろう。ただし、コモディティの生産で利益を上げるのが難しいという企業は増加傾向にあることから、消費者から見て付加価値の高い製品・サービスの提供にシフトし、そこに資源を集中的に投入していくことに経営者はためらうべきではない。