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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 定例記者会見における中西会長発言要旨

2019年12月9日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【チャレンジ・ゼロ】

国連気候変動枠組条約第25回締約国会議(COP25)が開催されているこの機をとらえ、温室効果ガス排出量を徹底して削減する活動「チャレンジ・ゼロ」(チャレンジ ネット・ゼロカーボン イノベーション)構想を本日公表した。脱炭素社会の実現に向けて企業がチャレンジするイノベーションを国内外に力強くアピールしていく取り組みを開始する。この背景には、昨今の異常気象の世界的な増加や気候変動に対する危機感がある。参加企業がイノベーションにチャレンジすることを宣言し、具体的なアクションを発表する。水素、再生エネルギー、省エネなどあらゆる選択肢が対象となる。技術開発のみならず、ビジネスベースでの先導的な実装等も必要になる。イノベーションを後押しする投融資も重要である。民間主導のイノベーションを、COP25でも政府と軌を一にしてアピールしていく。

【春季労使交渉】

来年の春季労使交渉の焦点は、社員のエンゲージメント向上のための働く環境整備と賃金引き上げのモメンタムの継続である。前者については、「働き方改革フェーズⅡ」として展開しており、新卒一括採用、終身雇用、年功序列がセットで括られる日本型雇用の課題の見直しについても議論している。もっとも、日本型雇用が機能していないということではなく、さまざまな雇用形態の長所をうまく組み合わせ、社員がスキルを磨き、かつ安定的に仕事をできるように再設計していきたい。後者の賃金に関しては、20年にわたる低成長の中、引き上げを控えてきたと企業は認識している。そこで、社員の働きに報いようという思いは経営者に強く、賃金引き上げを選択肢の一つとして打ち出すのは当然である。

【日本経済の現状と見通し】

2019年7-9月期のGDP第2次速報値(12/9公表)は第1次速報値に比して大幅上方修正された。設備投資は堅調で、デジタル投資も進んでいる。他方、海外経済は相変わらず不確定である。こうした中、薔薇色とは言えないが、日本経済は安定的に推移すると見ている。消費税率引き上げの影響は軽微であると思う。駆け込み需要の反動減がいつ回復するか予測は難しい。消費喚起のために産業界も政府もさらに知恵を絞る必要がある。また、日本企業が個々の強みを踏まえ市場を絞り込み、多岐に展開することが主流となりつつある。それが進めば、日本経済は底堅さを一層増すだろう。

【オープン・イノベーション税制】

ベンチャー企業への投資は経営の基本方針に関わる事項である。オープン・イノベーション税制は、ベンチャー投資を促進するための良いメッセージになるのではないか。

【内部留保】

内部留保は利益剰余金、つまり企業の過去の利益の積み重ねであり、企業の現預金とは全く異なる。他方、客観的に見て現預金が増えているのは事実であり、経営者は新しい投資分野を積極的に開拓し、企業、ひいては日本経済の成長につなげていく必要がある。

【博士号取得者】

日本で博士号取得者が年々減っていることについては、企業が博士号取得者をうまく活用できていないという実態と、大学においても企業で活かせるような博士課程教育を行っていないという問題があり、両面から検討する必要がある。

【ステークホルダー・キャピタリズム】

来年の世界経済フォーラム(ダボス会議)では、ステークホルダー・キャピタリズムがテーマになる。そもそも、クラウス・シュワブ氏は、企業が株主だけを、政治家が選挙民だけを考えていてはグローバルな社会課題を解決できないという問題意識から同フォーラムを立ち上げた。経団連は企業行動憲章において、企業がステークホルダーとどう向き合うべきかと明示している。日本が国際社会でイニシアティブを発揮する機会ともなるのではないか。

【桜を見る会】

この問題に何故固執するのか分からない。官房長官はよく説明されていると思う。人から傲慢と捉えられたり、税金を使っているといった批判を招くことはできるだけ避けた方がよく、コンプライアンス問題として追及される余地をつくったのであれば、脇が甘かった。野党には他の戦術がないのか。もっと政策論争をお願いしたい。

以上

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