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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 共同会見における榊原会長・中西次期会長候補発言要旨

2018年2月13日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【榊原会長】

現在、わが国経済はいよいよデフレ脱却・経済再生を果たし、GDP600兆円経済の実現に向けて大きくステップアップする重要な局面を迎えている。また、日本の経済社会の構造改革も引き続き重要な課題であり、(1)大胆な規制改革、(2)社会保障制度改革、(3)財政改革を加速するべく、これまで以上に政府に強力に働きかけていかなくてはならない。さらに、わが国を取り巻く国際情勢がますます複雑化し不確実性が高まっている中、自由で開かれた国際経済秩序の維持・強化が不可欠であり、経済界としても経済外交を従来以上に強力に推し進め、グローバルな活動を推進していくことが重要である。

このような非常に重要な時期に会長交代となるが、中西副会長は改めて申し上げるまでもなく、次期会長に最も相応しい方である。人格識見に優れ、卓越した経営手腕、豊富な海外経験を有し、まさに名実ともに日本を代表する経営者である。また、Society 5.0というコンセプトを提案し、国内外で精力的にこれを発信し、行動してきた。経団連として最も重要な成長戦略であり、最重要課題であるSociety 5.0を実現するため、引き続き中核的な役割を果たしてもらいたい。

中西副会長とは、政策の方向性も共有できている。重要政策課題については、会長・副会長会議等の場で議論し、政策の方向性を決めてきたが、中西副会長は議論に積極的に参加し、様々な提案をしてきた。私が進めてきた政策にも中西副会長の考えが反映されている。

会長に就任して以来、経団連は「日本の経済社会の改革の旗手・牽引者」であるという強い思いで、職務を遂行してきた。今なおわが国には、財政改革、社会保障改革、働き方改革など多くの改革、イノベーションが求められている。これらの改革を経済界の立場から提言し、実現に取り組むことが経団連の役割であり、中西次期会長にもこうした改革を一層加速して進めてもらいたい。私自身も5月末の任期まであと3カ月半あまり、最後の最後まで全力を尽くして、経団連会長としての職責を果たしていく。

【中西次期会長候補】

榊原会長から、過分な言葉を頂戴し、また、大きな期待を寄せていただいた。恐縮するとともに、何とか頑張らなければならないという心境である。日本経済はデフレ脱却もさることながら、大きな、新しい一歩を踏み出し、経済の新たな循環を回していく重要な時期にある。本日の会長・副会長会議でも、経団連が一丸となって、新たな経済の波を作っていくという意思が共有された。こうしたことを具体化するためには、様々な協力関係を構築していかなければならない。特に、Society 5.0はじめデジタル化の波を真正面から捉え、経済活動を展開していくためには、国内にとどまらず海外との連携関係を構築しなくてはならない。そうしたことに力点を置きながら、活動していきたい。

(記者:榊原会長の路線をどう継承し、どう自分の独自色を出していくのか?)

【中西次期会長候補】

これまで3年半あまり副会長として、かなりアクティブに経団連活動に取り組み、発言をしてきた。Society 5.0やサイバーセキュリティをはじめとする重要課題について、私の主張も経団連活動に反映されてきた。これらの取り組みを継続し、完成させていくためにやるべき課題がたくさんある。また、榊原ビジョンは当時の政治状況や政治との関係を背景に、しっかりとした意図を持って策定されたものであり、取りまとめの過程で私も積極的に議論に参加した。このビジョンの実現に引き続き取り組んでいく。中西流というものにこだわりはない。自分の色を出すことが目的ではなく、日本経済がしっかり回ることが重要であり、これに全力で取り組んでいく。

(記者:政治寄付への経団連の関与については?)

【中西次期会長候補】

政治と経済界が対立することがあってはならない。政治も経済界も日本や世界のことを考えて、政策を推進している以上、相矛盾することはない。ただ、この(政治との強調・連携)関係は常に(同じ形で)成立するものではなく、時々の政治の状況や人的関係にも左右される。また、経団連が政治寄付の呼びかけを行うことに反対しない。経団連が呼びかけつつも各社の意思をベースにするという現在の政治寄付への関与の方法を受け継いでいく。

(記者:経済界としてSDGsにどう取り組むのか?企業にとってSDGsの達成はどういう意味を持つのか。また、誘致を目指す2025年大阪万博ではSociety 5.0やSDGsをどう位置づけるのか?)

【榊原会長】

昨年11月に企業行動憲章を7年ぶりに改定した。この改定の柱の一つがSociety 5.0の実現を通じたSDGsの達成である。これまで通り、企業倫理や社会的責任には十分配慮しつつ、国際社会が抱える課題の解決や持続可能な社会の実現に向けて、企業が主導的な役割を果たしていくことを明示した改定である。CSRや法令遵守にとどまらず、企業が積極的に社会的課題の解決に貢献していくという姿勢を示したものである。事業活動を通じて、社会的課題の解決に貢献していくという考え・行動は、国連が掲げるSDGsとも軌を一にする。即ち、Society 5.0の推進はSDGsの達成につながっていく。企業行動憲章において、企業は事業活動を通じて、日本社会だけでなく、国際社会が直面する課題の克服にも企業の立場で貢献していくという行動指針を定めた。

私が誘致委員会会長を務める大阪万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」は、このSociety 5.0を通じてSDGsを達成するという考えが強く反映されている。2025年の大阪万博はSociety 5.0を通じて社会的課題が解決された日本の姿を世界に示す絶好の場となる。社会に変革が求められる中、日本が率先してこれに取り組んでいる姿を万博を通じて国際社会に発信したい。これは即ち、日本がSDGsを世界に先駆けて推進している姿を世界に示すことにもなる。2025年の万博誘致については、経済効果や関西の活性化は勿論のこと、Society 5.0の実現を通じたSDGsの達成という大きな目標がある。こうしたことから、何としても誘致を勝ち取りたい。

【中西次期会長候補】

企業としての持続可能性を高めるためには、企業活動の軸をSDGsに置く必要がある。これは海外のCEOと議論していても感じるところである。投資家との関係においても、ESG投資に示されているように、企業活動が社会的課題の解決と矛盾せず、また、企業活動を通じてSDGsを実現することが企業の価値を高め、企業を存続可能なものとする理由付けとなっている。この点を経団連の重要な行動指針として位置づけ、経済界の理解を深めていきたい。

(記者:国の支援を受けながら、原子力発電輸出の計画を進めることについて、どう考えているか?)

【中西次期会長候補】

原子力とそれを利用したエネルギーのシステムはそもそも国の施策と産業界が一体となって推進しなければ成立しないものである。勿論、発電所を建設する際の経済性は確保しなければならないが、燃料の調達とライフサイクルでの管理、国際的な技術の維持・管理など、国の関与なしに原子力産業が成立することはない。それぞれの立場から、この産業の構造やあり方について考えを示していく必要がある。

【榊原会長】

経団連は国の将来を見据えた国家政策を提言し、その実行を働きかける組織である。個々の課題について、個社の立場や業界の立場を斟酌して提言することはない。あくまで国のために、経団連の立場から発言、提言をしている。個社の立場とは明確に区別している。

以上

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