一般社団法人 日本経済団体連合会
【四国地域の経済情勢】
日本経済全体が7四半期連続でプラス成長という回復基調にある中、四国経済も順調に回復軌道を辿っている。特に個人消費について、日本全体としては力強さを欠くものの、四国では強めの動きが見られる。百貨店・スーパーの販売額は2カ月連続でプラス、コンビニエンスストアに至っては55カ月連続でプラスである。また、乗用車新車新規登録・届出台数も11カ月連続でプラスとなるなど、全国平均に比べて強めの動きである。生産も持ち直しの動きが見られ、紙・パルプ、窯業を中心に緩やかに拡大している。設備投資についても、今年度は、全産業で前年度より平均で20%(製造業19.6%、非製造業21.4%)上回る計画になるなど、増加している。雇用も堅調であり、四国経済は回復傾向を強めている。
【地方創生】
人材不足は四国に限らず、全国共通の課題であり、女性、高齢者、外国人の活用と併せて、先端技術、ロボット、AI、ビッグデータを活用することで生産性向上を図っていかなければならない。また、地域の中核産業の競争力強化も必要である。四国では、紙パルプや化学を中心に競争力を強めていくことが重要である。観光振興も、四国のみならず日本全体の課題である。四国の場合、四県が競合する傾向があり、もっと協力して取り組めば全県が裨益する。例えば、新幹線誘致や観光振興などは各県ばらばらではなく、四国全体で取り組むことが求められている。
とりわけ、四国への新幹線導入については、かねてより四国経済の大きなテーマとなっている。本日、改めて新幹線整備に対する強い思いを感じた。新幹線導入を進めるためには、地元が一丸となって磐石な推進体制を築くことが重要である。今年の夏には、四国経済連合会の千葉会長のリーダーシップの下、「四国新幹線整備促進期成会」が結成された。東京で決起大会が開催され、経団連も参加した。四国にとどまる活動とせず、日本全体に向けて四国新幹線導入を呼びかけていることは心強い。今後、さらなる情報発信や陳情活動を推進していくにあたり、四国新幹線が日本経済全体の活性化に貢献するということをいかに訴えていくかが鍵になろう。四国経済にとって新幹線は、費用対便益において妥当性があることが示されている。日本中の人々に四国新幹線導入への賛同を呼びかけていくうえでは、日本経済の活性化に資するかどうかが大きなポイントとなる。また、四国新幹線実現後の将来像についても、四国だけでなく、関西、中国など広域的な連携を含めた姿を描き、明示していくことが重要である。経団連としても様々な形で貢献していきたい。
【企業の事業主拠出金】
中小・零細企業は大企業に比べて厳しい経営環境にあり、拠出金の負担感が強いとの懸念は重々承知している。したがって、11月30日の人生100年会議でも申しあげたように、政府には負担感のより強い中小・零細企業に対する特別な支援策や丁寧な説明をお願いしたい。併せて、労働保険料率の引き下げなど負担軽減策の検討も必要である。そのほか、事業主拠出金の運用規律について、経団連としても、事業主拠出金の限度額や使途、制度運営の明確化などの運用規律をしっかり求めていく。経済界として受け入れやすいものとなるよう政府とも協議していく。
【春季労使交渉】
連合が来春の労使交渉に向けて、賃上げについて「定昇含め4%程度」とする要求方針を決定した。デフレ脱却・経済再生に向けて、経済の好循環をさらにまわしていくためには、継続的な賃金引上げが必要という点で、労働界、経済界は基本的な認識を共有している。具体的な数字は別にして、経済界としてどのような方針を示していくのか、来年1月に公表する経営労働政策特別委員会報告の中で示していく。
【マーケットの動向】
本日、日経平均株価が終値で445円下落した。これは、トランプ米国大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定する方針が報道されたことなどを受けての動きだと見ている。株価は経済のファンダメンタルズの変化や一時的な要因、市場の思惑などで動く。今年最大の下落となったが、日本経済のファンダメンタルズが毀損したとは考えていない。中東の問題は重要であり、重大な関心を持ってその動向を注視しているが、世界経済のファンダメンタルズに大きく影響することはないだろう。株価についても早晩あるべき水準に落ち着くと見ている。