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会長コメント/スピーチ  記者会見における会長発言 九州経済懇談会後の共同記者会見における榊原会長発言要旨

2017年3月2日
一般社団法人 日本経済団体連合会

【九州経済懇談会の沖縄開催と沖縄の経済情勢】

今回、初めて沖縄で九州経済懇談会を開催したことは、大変意義があった。経団連、九経連、沖縄の経済団体(沖縄県商工会議所、沖縄県経営者協会、沖縄経済同友会)の経済5団体の幹部が一堂に会し、九州、沖縄の経済発展に向けて率直な意見交換を行ったことは画期的であった。経済界幹部の間で沖縄経済に関する共通の認識を醸成し、九州、沖縄のさらなる発展に向けた展望を拓く大きな機会になったと思う。

沖縄で開催した理由は二つある。一つは、沖縄の色々な意味での重要性を考え、経団連幹部が沖縄を訪問し、沖縄の経済成長を後押ししていくことだ。経団連首脳の沖縄への公式訪問も1999年の今井会長(当時)以来である。もう一つは、経済界トップの一人として、日本で最も大きな沖縄の基地負担の状況を経団連幹部が直接見て、国民の一人として基地負担の軽減について考える場を作りたかった。

沖縄経済は総じて順調に成長している。所得は年々増加し、失業率も3%台まで下降し、求人倍率も1を超えた。今後のさらなる経済成長に向けては、観光振興と国際物流基地の拡大がカギとなる。とりわけ観光については、沖縄には特色ある文化・芸能や豊かな自然があふれ、アジアとも地理的に近接している。また、中城湾に大型MICE施設が整備されることを見据え、今後、国際会議の誘致に取り組むことも効果的である。こうした優位性を生かして、一層の観光振興につなげていくことが重要である。さらに、沖縄ではIT産業を中核産業として位置づけ集積を進めており、すでに数百社もの企業が進出するなど、実績をあげている。このように沖縄の景気が拡大する中、経団連としてもさまざま形で沖縄を支援し、経済成長を後押ししていきたい。

【経済産業省の施錠や取材に関する新ルール】

経済産業省では、国家機密を扱っている。執務室を原則施錠することは妥当なルールであり、一定のルールのもとに情報を管理することは当たり前のことである。ただし、今までどおり情報公開をすることも重要である。経済産業省には、国民の知る権利を充足させられるよう、これまでどおり努力してもらいたい。

【残業時間の上限規制】

残業時間の上限規制を巡り、先日の働き方改革実現会議の場で、安倍総理より労使で胸襟を開いて責任ある議論を行うようにとの発言があった。そうした中、連合と残業時間の上限規制とインターバル規制の二点について協議を行っている。2月27日に、私が神津会長と面会し、基本的な考え方や趣旨を示し合い、お互いの認識を共有した。3月中旬の合意形成に向けて取りまとめを行うことを確認しており、現在、事務局ベースでの協議を継続している。

【トランプ大統領の議会演説】

トランプ大統領の選挙期間中や選挙後の発言に沿った内容だったと受け止めている。これまでも申し上げてきているように、トランプ政権の政策には期待と懸念が交錯している。期待は、法人税減税、インフラ投資、規制緩和といった産業促進的な政策であり、これらは米国経済の成長にプラス材料となる。米国経済が強くなれば、世界経済も強くなり、日本経済再生への追い風となる。一方、懸念は通商政策であり、すでにTPPからの離脱、NAFTAの見直しを表明している。特にTPPについては、日米首脳会談で、安倍総理がその意義を何度も説明したようだが、今回、議会演説の中で改めて離脱を表明し、非常に厳しい状況ではある。ただ、トランプ大統領は自由で公正な貿易を推進していくとも表明している。TPPについても諦めることなく、政治は政治の立場で、経済界は経済界の立場で推進していきたい。

以上

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