一般社団法人 日本経済団体連合会
【アベノミクスへの評価】
アベノミクスが始動してから3年半が経過し、昨年秋にはアベノミクス第2ステージに入っている。第1ステージの3年間においては、多くの経済指標で改善が見られた。名目GDPは2012年度から2015年度にかけて26兆円、5.5%増加した。同様に名目雇用者報酬は10.9兆円、4.4%増加した。雇用については、完全失業率は2012年12月時点の4.3%から3.2%へと改善している。財政に関しても、プライマリーバランスは2012年度は-24.9兆円から-10.8兆円に改善した。このように第1ステージでは、多くの経済指標において、大きな改善が見られた。
現在、日本経済は基調としては緩やかな回復基調を辿っているものの、その足どりは緩やかで、特に消費は2014年に消費税を8%へ引き上げてから低調な状態が続いている。経団連は、かねてより消費が低迷する状況を打破するため、消費喚起と需要創造につながる思い切った経済対策が必要であると提言してきた。こうした中、安部総理は総合的かつ大胆な経済対策を今秋にも実施すると明言しており、経済界からもどのような経済対策が望ましいか提言していく。短期的なバラマキではなく、中長期的な経済成長に資するワイズスペンディングが求められる。また、規模についても小出しではなく、思い切った規模の財政出動が望ましい。
【リニア中央新幹線】
2027年に名古屋開業、2045年に大阪開業という整備計画が進められようとしており、関西経済界を中心に東京―大阪間の全線同時開業を含めた早期延伸に向けた働きかけがなされてきた。経団連としてもこの動きを支援してきた中、骨太の方針2016に全線開業の前倒しに向けて、財政投融資の活用を検討することとが盛り込まれた。JR東海も大阪延伸を最大8年前倒しする方向で政府と協議することを表明しており、全線開業前倒しに向けたこうした動きを歓迎したい。リニア中央新幹線は関西だけではなく、東京、名古屋、大阪を結ぶスーパーメガリージョンを形成する原動力となる。早期の全線開業を期待している。
【大阪への万博誘致】
戦後25年が経過した1970年に開催された大阪万博は高度経済成長のシンボルとなり、新しく羽ばたき始めた日本の姿を世界に示すことができた。大阪、関西だけでなく、日本経済全体の発展にもつながる国際行事であった。今後、2019年のラグビーワールドカップ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2021年の関西ワールドマスターズゲームズと国際的に注目される大イベントが日本国内で開催される。
大阪が目指す2025年の万博開催は関西経済の活性化につながる意義ある行事である。ただ、巨額の資金が必要となるほか、時間的な制約も存在するなど課題があり、政府、経済界などが一体となった支援体制を整備する必要があるだろう。いずれにしても経済活性化に資する国際行事であることから、前向きに検討されることを期待したい。