2021年3月17日
一般社団法人 日本経済団体連合会
一般社団法人 日本経済団体連合会
本格的なコロナ禍の中で実施されている今年の春季労使交渉において、集中回答日に各企業が提示した内容は、労使で自社の経営状態や危機感を正しく共有しながら、事業継続と雇用維持を最優先に徹底的な議論を重ねてきた結果と受け止めている。
月例賃金引上げや賞与・一時金については、労働組合等からの要求を踏まえつつ、コロナ禍での社員の努力や貢献に報いるべく、各企業ができる限りの配慮を示した回答と考える。
企業業績がまだら模様となり、先行き不透明感が極めて強い中、ベースアップ実施や高水準の賞与・一時金支給を表明した企業がみられたことは、賃金引上げのモメンタムを維持して経済の好循環に貢献するとの企業経営者のメッセージと捉えている。
また、コロナ対策やアフターコロナを見据えた話し合い、「働きがい」と「働きやすさ」の双方を社員が実感できる職場環境の整備など総合的な処遇改善に関する議論が労使間で活発に行われていることを評価したい。
今年の春季労使交渉は、働き手のエンゲージメント向上を通じた企業の成長の実現に向けた試金石といえる。今後、交渉が佳境を迎える多くの企業労使において、自社の実情に適った賃金決定や総合的な処遇改善が行われるとともに、ウィズコロナ時代を乗り越え、Society 5.0の実現を目指した真摯な議論が展開されることを強く期待する。
以上