今般、閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2016」をはじめとする政府の重要方針は、わが国が構造的に抱える少子高齢化や人口減少への対応、経済社会の革新をもたらす第４次産業革命、Society 5.0 の実現などに向けて、戦略的思考により、アベノミクス「新三本の矢」を具体化し、短期・中長期の推進策を総動員する包括的な政策パッケージとなっている。とくに、ニッポン一億総活躍プランは、安倍政権が掲げる「成長と分配の好循環実現」に向けて、短期間で踏み込んだ成果を上げた。

経団連は、デフレ脱却・経済再生の確実な実現、さらにはＧＤＰ600兆円経済の確固たる道筋をつけることが目下の最重要課題と考えており、今般の政府方針を高く評価する。

ニッポン一億総活躍プランで示された働き方改革について、経済界は、非正規従業員の正社員化、時給の引き上げ、賞与・一時金の支給・拡充に取組む。また、わが国の雇用慣行に十分留意しつつ、不合理な待遇差の是正に向けて労働政策審議会での議論に対応していく。さらに、経営者のリーダーシップにより長時間労働が深く根付いている企業文化・風土の是正を図る。目下の急務である子育て・介護の環境整備に向けては、高齢者に手厚い社会保障給付の見直しや、アベノミクスの成果を活用する仕組みを速やかに構築した上で来年度予算に反映することを求めていく。

今回の成長戦略の柱となる「官民戦略プロジェクト10」は、ＧＤＰ600兆円経済実現に向けた経団連の官民プロジェクト策定提案を受けたものであり、大いに歓迎したい。経済界もプロジェクトの推進に全面的に協力し、早期実現を目指して官民の英知とリソースを結集していく。