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Policy(提言・報告書)  地域別・国別 アジア・大洋州 第30回 経団連・韓経協首脳懇談会 共同声明

2024年1月11日
於:日本・東京

  1. 2024年1月11日、日本経済団体連合会(経団連)と韓国経済人協会(韓経協)は、第30回首脳懇談会を東京の経団連会館で開催した。今回は、韓経協が昨年9月に全国経済人連合会(全経連)から名称を変更して以来、初の首脳懇談会である。経団連側は十倉雅和会長をはじめ14人、韓経協側は柳津(リュ・ジン)会長をはじめ15人の首脳がそれぞれ出席した。

  2. 会議に先立ち、韓経協側は1月1日に石川県能登半島で発生した地震によって多くの貴重な人命が失われたことに深い哀悼の意を表した。経団連側はこれに対して、謝意を示した。

  3. 日韓両国は、これまで政治・経済・社会・文化など幅広い分野での交流を通じて、緊密で互恵的な関係を構築してきた。経団連と韓経協は、長年にわたる首脳懇談会の開催等を通じて、両国の経済交流の拡大と深化に大きな役割を果たしてきた。両団体は、二国間関係改善の動きを確固たるものにするため、2023年、未来志向の日韓関係構築に向けて、それぞれ日韓・韓日未来パートナーシップ基金を設立し、共同事業の推進に取り組んでいる。

  4. 経団連と韓経協は、良好な日韓関係を決して後戻りさせることなく継続し、未来へとつないでいくため、連携・協力を一層強化していくことで一致した。そのために、経団連と韓経協をはじめとする民間が、両国の経済関係を一層拡大させ、二国間はもとより、国際社会の発展にも貢献していくことを確認した。

  5. 首脳懇談会ではまず、特別セッションとして、日韓・韓日未来パートナーシップ基金諮問委員長である深川由起子21世紀政策研究所研究主幹・早稲田大学政治経済学術院教授および姜晟振(カン・ソンジン)高麗大学経済学科教授より、日韓産業協力の可能性と展望について説明が行われ、イノベーション創出に向けたスタートアップ連携のほか、市民生活の質的向上に資する地域活性化、水素を中心とした両国間のエネルギー協力など具体的な両国の産業協力分野について、提言がなされた。

  6. 基金の共同事業については、若手人材の交流の促進として2024年1月15日から19日までの期間で韓国の高校教師50名を日本に招聘し、企業や学校訪問などを行うとともに、2024年夏には、日本の教師を韓国に派遣することを予定している旨の報告があった。また、産業協力の一環として、両国のスタートアップエコシステムを活性化するために、今年上半期に東京で日韓のスタートアップ連携に関するフォーラムを開催することとなった。

  7. 続くセッションで、テーマ別のプレゼンテーションに基づき、意見交換を行った。日韓両国の経済の現状と展望、成長戦略や直面する課題等を共有し、両国企業の事業の状況や今後の可能性等について議論を深めた。

  8. 双方は、気候変動問題の解決に向けて、エネルギーの安定供給と経済成長を確保しながらカーボンニュートラルを実現していく必要があるとの認識で一致した。具体的には、水素・アンモニアの供給網構築に向けたさらなる取組みの必要性と、両国間電力融通が大きな便益をもたらす可能性を共有した。また、両国が共通して直面している少子高齢化に対応するため、出生率向上や外国人人材の受け入れなどの政策において、両国が自らの知見と経験を共有し、関連する諸課題の解決に共に取り組むことの重要性を確認した。

  9. 産業協力については、まず、技術革新の中心的な役割を担うスタートアップの活力を活かして新たな産業を創出し、両国それぞれの成長エンジンとすることが重要であるとの共通認識を得た。また、産業協力にあたっては、人材こそが基盤であり、その育成は、双方の産業界が連携して取り組むべき重要課題であることを改めて確認した。

  10. 双方は、世界の分断を回避すべく、自由で開かれた国際経済秩序の構築に向けて、国際的枠組みを活用しながら取り組むことで一致し、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)や地域的な包括的経済連携協定(RCEP)といった既存の枠組みの意義を共有した。特にCPTPPについては、高水準のルールを満たすことができる国・地域への拡大を促進する必要性と重要性を共有し、韓国の加入に向け、働きかけを行うこととした。また、インド太平洋経済枠組み(IPEF)における各種の協力を日韓米が推進することによって、地域の秩序形成に寄与することに期待を表明した。

  11. 双方は、東アジア情勢が厳しさを増すなか、日韓米三カ国政府が、経済、安全保障、外交分野の協力を拡大していることを受け、三カ国の経済界における協力の必要性も拡大しているとの認識で一致した。双方は、首脳会合と連携する形で、相互協力の在り方を模索する「日韓米ビジネスサミット」の開催を検討する必要性を共有した。

  12. 経団連と韓経協は引き続き、日韓経済関係の拡大と深化に向けて協力し、未来志向の日韓関係の発展に役割を果たしていくことで一致した。

  13. 双方は、2024年下半期に、第31回経団連・韓経協首脳懇談会をソウルで開催することで合意した。

日本経済団体連合会
会長  十倉雅和
韓国経済人協会
会長  柳 津

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