
東日本旅客鉄道は、「男女問わず、仕事と育児や介護を両立し、活躍できる企業」を支援の基本方針としている。仕事と育児等の両立は女性だけの課題ではなく、パートナーや家族である男性の両立が不可欠であり、制度の見直しや従業員の理解促進に取り組んでいる。
<主な取組み>
○男性の育児休業取得促進
同社は、2027年度までに男性の育児休職取得率85%とする目標を設定した。その達成に向けて両立支援セミナーを開催し、支援制度の利用者のほか、管理職や関心のある従業員に広く参加を呼びかけている。さらにグループ会社も対象にダイバーシティに関するフォーラムを開催し、年齢や職場環境の異なる従業員同士がアンコンシャス・バイアスなどについて意見交換を行っている。その効果として、男性が育児休業を取得することへの理解などが浸透し、組織風土改革につながっている。
こうした取組みにより、男性の育児休業の平均取得率・日数は2021年度の24.0%・82.4日から、2023年度は61.9%・97.6日にまで向上した。取得日数については、個人の状況にあわせて必要な期間を取得し仕事と育児を両立できる体制整備を呼びかけている。
○障害児・医療的ケア児を育てる従業員への支援
2024年4月より、難病や障害のある子を育てる従業員を支援するため、子の年齢に関わらず短時間勤務や短日数勤務、養育休暇等を利用できる制度の見直しを行った(2023年10月に義務教育期間である中学校3年生まで取得可能とする制度改正後、2024年4月に子の年齢に関わらず取得可能へ制度改正)。
子に障害があることなどは機微な情報であり、周囲に相談しにくいことから、同じ境遇の従業員が繋がることができるネットワーキングを本社勤務の従業員を対象に実施し、今後も継続して開催することとしている。
○働き方改革
フレックスタイム制やテレワークを全職場に導入して柔軟な働き方を推進している。鉄道オペレーション業務のため、フレックスタイム制が適用されない従業員については、フレキシブル時間の導入(業務に支障のない範囲で時間単位の欠勤を可能とする制度)により、始終業時刻を変更できるようにするなど、業務の特性に応じた対応を行っている。
<今後の展望>
仕事と育児等を両立する従業員は年々増えつつあるが、管理職層の理解促進が課題となっている。従業員一人ひとりが個々の状況に応じて力を発揮できることを目指し、管理職が部下とコミュニケーションをとり、フォローできる体制整備に取り組むこととしている。