
ジョンストン氏
OECDは2月17日、公式諮問機関であるBIAC(Business at OECD、経済産業諮問委員会)との年次協議をフランス・パリで開催した。BIACのリック・ジョンストン会長はじめOECD加盟国経済界代表と共に経団連の代表も同協議に参加。OECDのマティアス・コーマン事務総長ほか事務局幹部、各国の駐OECD代表部大使らと、OECDが優先的に取り組むべき世界経済の重要課題について意見交換した。
■ OECD経済界の優先事項
BIACは同協議に先立ち、2025年6月のOECD閣僚理事会に向けた経済界の主張の基調を定める提言書「経済協力を通じた繁栄の実現(Delivering Prosperity Through Economic Cooperation)」を公表した。ジョンストン氏はこの提言を示しつつ、OECDは経済競争力を討議の中心に据え、世界経済の回復を危機にさらす不確実性や変動性、制約に対処しなければならないと強調した。続いて、米国、日本、ドイツ、メキシコの経済界代表が、民間セクターの繫栄のために何が必要か、それぞれの地域の視点から説明した。
経団連の代表は、租税の確実性を担保し、異なる租税ルールの適用を回避する観点から、OECDが国際課税ルールの策定に主導的役割を果たすべきと訴えた。あわせて、OECDが公表した石炭政策に関する金融機関へのガイダンス案について、エネルギーの安定供給に深刻な影響を及ぼすとの懸念を伝えた。さらに、保護主義が支配的になり、経済的威圧や貿易歪曲的な補助金・関税措置が見られるなか、OECDには、ルールに基づく自由で公正かつ開かれた国際経済秩序を維持するよう、役割を果たしてほしいと強い期待を表明した。
■ OECD閣僚理事会に向けて
同協議は、世界経済のつながりを維持するための経済界の優先事項を強調するとともに、市場におけるガバナンスのグローバルな普及に向けたOECDのアウトリーチ活動について、優先事項を共有する重要な機会にもなった。
経団連は、引き続きBIACへの参画を通じて、OECDの政策議論に日本経済界の意見を反映するよう努めていく。
【国際経済本部】