
ゴールドファイン氏
経団連の中南米地域委員会(藤本昌義委員長)は2月18日、東京・大手町の経団連会館で、イラン・ゴールドファイン米州開発銀行(IDB)総裁との懇談会を開催した。ラテンアメリカ・カリブ(LAC)諸国の経済の現状と今後の見通しや、IDBの役割について説明を聴くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。
■ 経済の現状と日本との結び付き
LAC諸国の経済は回復しており、2024年のGDP成長率は2%、25年は2.5%と予想される。また、金融引き締めによってインフレが抑制されるなど、穏やかで安定した経済成長を遂げている。
日本は1976年のIDBへの加盟以降、国際協力機構(JICA)の協調融資、日本信託基金、民間セクターの投資などを通じて、中南米の発展に向けたパートナーとして、LAC諸国との関係が深化している。近年では、日本の自動車メーカー(本田技研工業、トヨタ自動車、日産自動車)が中南米向けに10億ドル以上の巨額の投資を行い、メキシコに2500人以上の雇用を創出している。
■ LAC諸国の可能性とIDBの役割
LAC諸国は、世界的課題の解決に関して、次の三つの点で中心に位置付けられる。一つ目が気候と生物多様性である。アマゾンの熱帯雨林は地球上の4分の1の二酸化炭素を吸収できる。二つ目がクリーンエネルギー分野である。全世界の埋蔵量のうち、リチウムは3分の2、銅は33%を誇り、サプライチェーンとしての重要度が高まっている。三つ目が食料安全保障である。LAC諸国内だけで13億人分の食料を生産することができる。
IDBは、LAC諸国の将来の発展は、民間セクターが中心的な役割を担うと考えている。そのためIDBラボ、IDBインベストを通じて、IDBの全融資のうち40%以上が民間部門に向けられている。
また、IDBは自らを「民間セクターのMDB(Multilateral Development Bank、国際開発金融機関)」と位置付け、IDBのこれまでの公的セクターでの知見をてこ(レバレッジ)にして、民間投資家を利するような相乗効果(シナジー)を生み出すこととしている。
■ 日本とLAC諸国のビジネス深化に向けて
IDBは、日本企業がLAC諸国において、より多くのビジネスチャンスを得られるよう、新たなプログラムとして「BID for the Americas」を立ち上げた。
1.調達
IDBは年間41億ドル規模のプロジェクト調達を実施している。しかし、IDBの入札案件における日本企業の存在感は薄い。ビッダーセンター(Bidder Center、入札センター)の導入や、今後リリース予定の「BID for the Americas」アプリを活用し、入札情報へのアクセスの簡素化と機会の拡大を図る。
2.貿易と投資
コネクトアメリカ・ドットコム(ConnectAmericas.com)を通じて、ビジネスマッチングや購買情報を支援する。
3.資金調達
IDBインベストの業務を拡大することで、LAC諸国における日本企業の資金調達の選択肢を増やす。
【国際協力本部】