
西方氏
経団連は1月31日、東京・大手町の経団連会館で、外国為替及び外国貿易法(外為法)における対内直接投資審査制度の見直しに関する懇談会を開催した。財務省国際局の西方建一調査課長から説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
外為法は、対外取引自由を原則としつつ、必要最小限の管理調整を行う観点から対内直接投資審査制度を設けている。外国投資家が国の安全等の観点から指定される業種(指定業種)を営む企業に対して投資を行う場合には、審査付事前届出を義務付けている。他方、経済の健全な発展につながる対内直接投資を促進するため、投資家が経営に関与しないなど一定の基準を遵守する場合には、外国政府等による投資を除き、事前届出を免除している。
現在、国の安全等を損なうリスクが高いと認められる外国投資について、事前届出免除制度の対象外とすることが検討されている(図表参照)。

(図表のクリックで拡大表示)
具体的には、(1)外国政府との契約や外国の法令に基づき、外国政府の情報収集活動に協力する義務が課されている投資家(2)外国政府に情報収集義務を負う組織・個人が議決権・株式数等の50%以上もしくは役員の3分の1以上を占める組織などの外国投資家――を「特定外国投資家」と定義し、外国政府や国有企業等と同様、事前届出免除制度を利用不可とする。
また、規制の潜脱を防止する観点から、形式的には「特定外国投資家」に該当しない投資家であっても、情報収集義務を負っている者が実質的な意思決定を掌握している場合や、設立準拠国以外の国・地域に実質的な本社があり情報収集活動に関する法令の影響を受ける者などは、「特定外国投資家に準ずる者」として新たに分類し、事前届出免除の利用を制限する。具体的には、経済安全保障推進法における「特定社会基盤事業者」であり、かつ外為法上のコア業種に属する事業を営む企業を「特定コア事業者」として新たに整理する。加えて、「特定外国投資家に準ずる者」による「特定コア事業者」への投資については免除利用不可とし、事前届出を義務化する。「特定コア事業者」に当たる事業者は100社程度を想定しているが、投資家に分かりやすいよう何らかの形で示したい。その他のコア業種に対する1%以上10%未満の投資については、従来の免除基準・上乗せ基準に加え、コア業種に属する事業に関する非公開情報にアクセスしないことや、発行会社等に従業員を派遣しないといったさらなる上乗せ基準を追加し、免除利用可能な範囲を限定する。
海外からの投資を歓迎するという基本の方針に変更はなく、今般の改正案でも対外取引自由という原則は変わらない。周知活動を行い、パブリックコメントを実施のうえ(注)、春ごろに政省令等改正を公布し、施行するスケジュールを予定している。
(注)2月10日からパブリックコメントを開始
【国際経済本部】