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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年2月27日 No.3673 今後の経済外交 -FD2040における主要施策〈最終回〉

経団連は12月9日、「FUTURE DESIGN 2040『成長と分配の好循環』~公正・公平で持続可能な社会を目指して」(FD2040)を公表した。最終回は今後の経済外交について紹介する。

■ わが国経済外交が直面する課題と2040年までに目指すべき姿

(図表のクリックで拡大表示)

米中二大大国の経済規模が接近するなか(図表参照)での大国間の戦略的競争の激化、グローバルサウスの台頭等により、国際秩序が揺らいでいる。そうしたなか、国際連合(UN)や世界貿易機関(WTO)は十分に機能できておらず、グローバル・ガバナンスの機能が低下している。

こうした現状を踏まえれば、2040年には、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序が維持・強化され、平和と安定を享受する――という姿を想定することは楽観的に過ぎるが、そのための取り組みが継続されている世界を目指すべきである。これに向けわが国は、主体的な外交を通じて、同志国を含む複数国間の協力やルール作りなど共同リーダーシップの形成・発揮に存在感を示し、グローバルサウスからも必要なパートナーとして選ばれる国になる必要がある。また、戦略的自律性の確保、戦略的不可欠性の維持・獲得等を通じて、国力を総合的に強化することによって、「small yard, high fence(限定された分野を厳重に管理)」の原則のもと、「開かれた貿易投資立国」としての地位を確立すべきである。

こうした目指すべき姿の実現に向け、わが国が取り組むべき施策は次のとおり。

■ 具体施策(1)~国際的なルールの整備等

法の支配に基づく国際秩序を維持・強化するためには、国際ルールへの違反行為に対して、国際ルールにのっとって毅然と対応することで、グローバル・ガバナンスの形骸化を防ぐとともに、違反行為の再発を抑止することが重要である。

また、新たな課題が生じるなかにあって、既存の国際ルールでは対応が不十分な場合には、新たなルールを率先して提案すべきである。

多国間のコンセンサス形成が困難な状況にあっては、複数国間・二国間でルール作りを進めるべきである。特に、ヒト・モノ・カネの双方向の移動の円滑化に資する経済連携協定(EPA)は、適切な相手国を「選ぶ」ことができる点で経済安全保障を確保するうえでも有効であり、一層の拡大・深化が求められる。

多国間のルールについては、多角的貿易体制の中核であるWTOの改革を推進する必要がある。紛争解決手続きの機能回復等を急ぐとともに、新たなルールの策定等を困難にしているコンセンサス方式に代わる意思決定方式を提案していくべきである。これらを通じて、現行のWTO(WTO 1.0)について、修正すべきは修正した「WTO 2.0」の構築を目指すべきである。

またわが国は、重要性が増す経済安全保障の要素をも取り込んだ強靭かつ自由で開かれた貿易投資体制のあり方を発信することによって、ルール作りを主導し、諸外国・地域に一定の影響を及ぼす「東京効果」を生み出していくべきである。

■ 具体施策(2)~グローバルサウスとの連携の強化

グローバルサウスとの連携に当たっては、グローバルサウスの置かれた状況が国・地域によってさまざまであることを踏まえ、主要国・地域別に方針を打ち立てる必要がある。また、重点を置いて取り組むべき国・地域を選定し、限られた政策資源を集中投下することが重要である。

具体的には、内閣総理大臣をはじめとするトップ外交、官民フォーラムの開催、質の高いインフラシステムの展開、国際ルール・国際標準の形成、第三国との協力、人材の育成・交流に取り組むべきである。

■ 具体施策(3)~総合的な国力の強化

前述の施策の訴求・実現に向けて、主体的な経済外交を展開するためには、その基盤として、外交力、防衛力、経済力、技術力、情報力を主な要素とする、わが国の総合的な国力を強化することが不可欠である。特に外交力については、同盟関係にある米国に加えて、同志国、グローバルサウス等との連携を強化するとともに、それ以外の主要国・地域とは、戦略的コミュニケーションを確保する必要がある。

【Team FD2040】

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