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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年2月27日 No.3673 N高・S高の教育とZEN大学開学に向けた取り組み -教育・大学改革推進委員会

川上氏

経団連は2月5日、東京・大手町の経団連会館で教育・大学改革推進委員会(小路明善委員長、橋本雅博委員長)を開催した。

N高等学校は2016年4月にインターネットと通信制高校の制度を活用した「ネットの高校」として開校して以来、通信制高校のイメージを変える教育を実践している。N高グループのS高等学校を含む生徒数は現在3万人超と日本最大級の規模となっている。N高グループの実績を踏まえ、25年4月にR高等学校が開校準備中(25年2月時点)、またオンラインの大学であるZEN大学が開学する。

そこで創立に携わってきたドワンゴの川上量生顧問から、N高グループの教育とZEN大学開学に向けた取り組みについて説明を聴くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。

■ N高グループ~通信制高校のイメージを変えた「ネットの高校」

通信制高校は、これまで全日制高校に通えない不登校生のための高校だと認識されてきた。一方N高は、生徒を落ちこぼれではなく、未来のエリートとして育成に取り組んでいる。また、通信制高校として初めて進学実績を詳細に公表したことが評価され、一般の高校として認識されるようになった。こうした取り組みを通じて、名門校出身の優秀な生徒もN高に集まるようになり、進学実績が毎年急上昇している。特に海外大学合格者数は全国2位を誇り、24年度入試における世界ランキング100位以内の海外大学合格者数は29人である(24年3月29日時点)。

N高グループでは、オリジナルの動画教材等を提供するとともに、仮想現実(VR)を学習に取り入れている。特にAI・VRを活用した英会話トレーニングは、生徒の英検合格率の向上に寄与している。また、レポート作成や教員・友だちとのコミュニケーションなどは文字を通じたものが中心となるため、国語の成績が全国平均よりも高い。さらに、入学直後に必修の対面授業を実施するなど、生徒の友だちづくりにも取り組んでいる。加えて、レポートの提出状況や受講状況の悪い生徒には、個別でサポートする。そのため、他の通信制高校と比べて卒業率が高い。この他、生徒の多様性に合わせて、難関大学を目指す生徒向けのコミュニティや、大学院生のサポートのもとで大学生レベル以上の論文を執筆するコミュニティ等も提供している。

■ ZEN大学~日本発の本格的なオンライン大学

ZEN大学設立の目的は、(1)社会人学生中心の通信制大学が高校卒業後の進学先としても認識されていること(2)地理的・経済的要因等による大学進学率格差の解消(3)大学受験の勉強をしなくても大学レベルの勉強ができる仕組みの提供(4)今後求められるデジタルスキルを有する人材の輩出――の四つである。具体的には、文系・理系双方の分野を幅広く学ぶ知能情報社会学部の1学部を設置し、国立大学よりも安価な授業料で、オンライン授業だけで卒業資格を取得できるように設計している。また、高校3年生が出願者の6割を占め(25年1月31日時点)、高校卒業後の進学先としても認識されている。

ZEN大学では、約1万2000本のオンデマンド授業に加えて、双方向型ゼミ形式のオンライン授業も実施する。また、学修管理システム(LMS)により、学生が自らの学修記録を管理するとともに、複数の教職員が学生をサポートする体制を構築している。さらに、地域・企業と連携した現場体験型の課外プログラムや留学プログラムを通じて、国内外で社会のリアルを学べる機会も提供する。

企業の皆さまには、通信制の学校が全日制の学校に通えない人たちのための学校から、学びたい意欲のある全ての人たちが進学できる学校へと変化していることを理解してもらいたい。

【教育・自然保護本部】

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