1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2025年2月13日 No.3671
  5. 連合との懇談会を開催

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年2月13日 No.3671 連合との懇談会を開催 -2025年春季労使交渉を巡る諸問題について意見交換

芳野氏

十倉会長

経団連は1月22日、東京・大手町の経団連会館で日本労働組合総連合会(連合、芳野友子会長)との懇談会を開催した。両会長はじめ、経団連側16人、連合側18人が参加。春季労使交渉を巡る諸問題をテーマに意見交換した。

開会あいさつで十倉雅和会長は、近年の歴史的な賃金引き上げについて、「人への投資」の重要性を労使で深く共有し取り組んできた成果と評価した。そのうえで、2025年について、ここ2年間で醸成されてきた賃金引き上げの力強いモメンタムを『定着』させる年としなければならないとの強い意向を表明。経団連は「ベースアップを念頭に置いた検討」を呼びかけるなど、全力で取り組んでいくと語った。

さらに十倉会長は、中小企業と有期雇用等労働者の賃金引き上げが不可欠と指摘するとともに、「賃金は上がっていくもの」「適正な価格転嫁と販売価格アップを受け入れる」という二つの考えを社会的規範として浸透させる必要性を強調した。

連合の芳野会長は、「動き始めた賃上げの流れを停滞させることは絶対に避けなければならない」としたうえで、25年に関して、(1)新たなステージを「定着」させる年にすること(2)賃金・経済・物価を安定した巡航軌道に乗せること――が重要との認識を示した。

また、日本経済全体の底上げを図るためには、中小・小規模企業者、地方経済の隅々まで賃金引き上げを波及させる必要があることから、経団連に対し、労務費を含む適切な価格転嫁により「三方よし」の取引慣行が実現するよう、強いリーダーシップの発揮を求めた。

両会長のあいさつに続いて、連合が「2025連合白書」、経団連が「2025年版経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」のポイントを説明した。

続く意見交換では、今次春季労使交渉において、賃金引き上げの力強いモメンタム定着のカギとなる中小企業の賃金引き上げを実現するため、適正な価格転嫁の実効性確保や、それを社会的規範化することの重要性、積極的な「人への投資」の必要性などに言及する発言が双方から相次いだ。

この他、連合側からは、(1)価格転嫁・適正取引の必要性(2)産業別である特定最低賃金を含む引き上げの重要性(3)選択的夫婦別姓制度の実現(4)働き方に中立な社会保険制度に関する考え方(5)労働組合を組織化する重要性――などの発言があった。

一方、経団連側からは、(1)可処分所得の向上と付加価値の最大化(2)日本のGDPの維持・向上の重要性(3)適正な価格転嫁における消費者の役割(4)税と社会保障の一体改革の必要性(5)グリーントランスフォーメーション(GX)の実現――などに関する意見が出された。

閉会あいさつで連合の芳野氏は、「本日の意見交換を通じて、労使が同じ方向を向いていることを再認識した」と述べたほか、2025春季生活闘争では、中小・小規模企業の賃金引き上げ結果にこだわる意向を示した。

十倉会長も、方向性は経団連と連合で同じとしたうえで、労使が共通の目的の実現に向かって共に取り組むという意味での春の共闘=「春闘」との認識を示し、労使協調の必要性を改めて強調して締めくくった。

【労働政策本部】

「2025年2月13日 No.3671」一覧はこちら