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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年1月23日 No.3668 地域経済社会 -FD2040における主要施策〈第4回〉

経団連は12月9日、「FUTURE DESIGN 2040『成長と分配の好循環』~公正・公平で持続可能な社会を目指して」(FD2040)を公表した。連載第4回は地域経済社会について紹介する。

■ 目指すべき地域経済社会の姿

わが国にとって今後避けることができず、克服すべき課題は少子高齢化・人口減少である。とりわけ、首都圏への一極集中や地域の担い手となる人材の不足に歯止めがかからないまま人口減少が進めば、この影響を真っ先に受けるのは地方部の規模の小さな自治体である。

こうしたなかにあっては、単独の基礎自治体の枠組みで、フルセットの行政サービスや特色ある施策を講じるこれまでのやり方には限界が来るだろう。そこで、2040年の目指すべき地域経済社会の姿を、「現行の地方自治体の垣根を越えるより広い圏域において、多様な主体が切磋琢磨することで、人口減少下においても、地域経済社会が多極分散型で自律的・持続的に発展していること」と位置付けた。

■ 広域連携の推進(新たな道州圏域構想)

(図表のクリックで拡大表示)

目指すべき地域経済社会の実現に向けてカギとなる施策は、「広域連携の推進」である。その手段の一つとして、「新たな道州圏域構想」を提起している。これは、都道府県よりも広域のブロックを一つの仮想単位(道州圏域)として、バーチャルな道州圏域ごとに独自のビジョンを策定し、大胆な施策を実行していく考え方である。各都道府県や市町村が複数の道州圏域にまたがって施策を展開することも可能と考えるものであり、区割りを示す道州制よりも柔軟な構想である。一つの道州圏域のイメージは、ハブとなる中心都市があり、その周辺に一定規模の生活圏が存在し、これらの圏域が行政区域にとらわれず重層的に広域連携をしている姿である(図表参照)。

各道州圏域の施策を進めるためには、施策をリードする主体を明確にすることも欠かせない。例えば、道州圏域内で、中心都市機能を果たすことが期待される地方自治体の権限強化、各地経済団体が策定する地域の中長期的なビジョンや構想を国・地方自治体と連携していくことが考えられる。

■ 地域資源を活かした産業の育成

道州圏域レベルでは、地域資源を最大限活かした産業を育成することで、地域への投資拡大・雇用創出を行い、競争力を強化することも重要である。道州圏域ごとの独自ビジョンの策定に当たっては、産学官連携により、圏域ごとに地域資源を活かした産業を特定し、地域振興の担い手となる人材育成や教育を振興していく観点が不可欠である。

特に「農業」「観光」「エネルギー」は、地域資源として潜在力を有する分野として期待される役割が大きいことから、道州圏域ごとの独自のビジョンにおける各分野の方向性をそれぞれ示している。

■ 立地適正化とインフラ整備・防災DXの推進

昨今の各地における災害の頻発化・激甚化を見ると、日本の気候はもはや亜熱帯化していると言わざるを得ない。こうした自然環境の変化に対しては、将来の災害に備えた防災まちづくり等、事前防災を進めていく必要がある。そこで、災害リスクが低い地域への集住等の立地適正化や、コンパクトシティの形成が急がれる。同時に、被災地の復旧・復興や、平時からのレジリエントな経済社会の構築に向けては、「防災・危機管理省」(仮称)の設立も含め、政府の司令塔機能を強化すべきである。

また、大規模災害に対処するためのデジタル技術の革新が進められているなかでは、先進技術を積極的に活用し、防災分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進することが不可欠である。災害予測・予防、災害応急対策、災害復旧・復興のいずれの段階においても、官民の有するデジタル技術を徹底活用し、国土強靭化を図る必要がある。そのうえで、防災DXをはじめとするデジタル技術を地域全体で活用するスマートシティを構築することも含め、これらの技術が確実に実装されるよう、官民を挙げて取り組むべきである。

【Team FD2040】

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