
十倉会長(右)、新浪代表幹事(中央)、小林会頭(左)
経団連の十倉雅和会長は、経済3団体新年祝賀パーティー後、2団体長と共に記者会見に臨み、所見を述べた。
十倉会長は日本経済について、「2025年は、日本がデフレからの完全脱却を果たせるかどうかの分水嶺の年である。24年、わが国のGDPは600兆円を突破し、国内の設備投資は年間100兆円を超え、2年連続で約30年ぶりの高水準の月例賃金引き上げが実現した。基調的な物価上昇率も2%程度に近づきつつある。こうした良い流れを確実なものとするためのキーワードは、『成長と分配の好循環』と『公正・公平・持続可能性』である。世界における分断と対立の根底には、格差の存在がある。日本も例外ではなく、格差の是正に向けて、成長と分配の好循環を回さなければならない。若年世代の消費性向が低く、賃金引き上げが消費に向かわない現状を打破するには、公正・公平な分配が求められる。実現に向けて、社会保障制度の見直しが不可欠である」と強調した。
25年の春季労使交渉について、「23年は高水準の賃金引き上げモメンタム『起点』の年、24年はそれが大きく『加速』した年となった。25年はこの流れを『定着』させる年にしたい」と指摘。そのうえで「昨今の物価上昇に鑑み、ベースアップを念頭に置いた賃金引き上げの実施を広く呼びかけていく方針である。近く『2025年版経営労働政策特別委員会報告』を取りまとめ、日本全国約60カ所での講演等を通じて周知活動を展開していきたい」と述べた。
米国のバイデン大統領が日本製鉄によるUSスチールの買収計画を禁止する命令を下したことについて、「同買収計画は、米国にとって重要な社会インフラ・産業の基盤である鉄鋼の米国内での生産拠点や、それを支える従業員の労働力の維持・強化に貢献すると期待されるものであり、今回の決定は非常に残念である」との考えを示した。
【広報本部】