1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2025年1月1日 No.3665
  5. 第61回四国地域経済懇談会を開催

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2025年1月1日 No.3665 第61回四国地域経済懇談会を開催

あいさつする十倉会長

経団連と四国経済連合会(四経連、長井啓介会長)は12月3日、徳島市内で「第61回四国地域経済懇談会」を開催した。経団連からは十倉雅和会長、冨田哲郎審議員会議長、副会長らが、四経連からは長井会長をはじめ会員約150人が参加し、「徳島で考える。日本と四国の『Future Design』」を基本テーマに意見交換した。

また、経済懇談会に先立ち開催した昼食懇談会では、後藤田正純徳島県知事から、「徳島新未来創生総合計画」に基づく取り組みについて説明を聴くとともに、四経連首脳を交えて意見交換した。

経済懇談会の開会あいさつで四経連の長井会長は、今回の基本テーマには、徳島での意見交換を、日本と四国の未来社会のあるべき姿や、その実現に向けた産業界の取り組みなどについて、より深く考える機会にしたいという思いを込めたと説明。日本と四国の創生の道筋について、しっかりと意見交換したいと述べた。

続いて十倉会長があいさつ。「日本経済は、33年ぶりとなる高い水準の賃金引き上げや過去最高水準の設備投資の拡大に支えられ、成長への確実な歩みを進めている」としたうえで、引き続き「成長と分配の好循環の実現」に全力を挙げて取り組むとの決意を示した。また、不透明な国際情勢のなか、自由な経済活動を維持するため、民間経済外交を積極的に展開していくと述べた。

■ テーマ1「地域産業の競争力強化と人口減少問題への対応」

まず、グリーントランスフォーメーション(GX)、スタートアップ支援、ダイバーシティ&インクルージョン、UIJターン就職などに関して、四経連から問題提起があった。

これに対して、経団連から、

  1. (1)産業競争力の維持・強化とカーボンニュートラル(CN)社会実現の両立に向けては、再生可能エネルギーや原子力といった脱炭素電源のさらなる活用や水素・アンモニア等の活用が必要である(兵頭誠之副会長)
  2. (2)大学の研究成果を基にスタートアップが生まれ、その周りに関連する企業や研究者、投資家などが国内外から集まってエコシステムが形成されれば、地域の新たな産業・雇用の創出につながる(遠藤信博副会長)
  3. (3)多様な人材の活躍には、働き手のさまざまな属性に着目した取り組みが必要。地域を担う人材の確保には、経営資源を多く有する都市部の企業から、地域の企業への人の流れをつくり出すことが重要である(小路明善副会長)

――との発言があった。

■ テーマ2「広域周遊観光やDX推進のあり方」

次に、広域周遊観光やデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に関して、四経連から問題提起があった。

これに対して、経団連から、

  1. (1)広域で周遊観光をしてもらうためには、デジタルの活用、特にMaaS(Mobility as a Service)が有効。また、四国においては、お遍路と広域でのさまざまな観光スポットの統合的な発信も効果的である(野田由美子副会長)
  2. (2)各企業が持つデータをビジネス上の協調領域と競争領域に分け、このうち協調領域のデータを積極的に外に出し、データを集めてつなぐことで、新たな価値を生み出していくことが重要である(東原敏昭副会長)

――との発言があった。

■ テーマ3「地方創生に欠かせず、災害にも強い交通インフラの整備」

次に、新幹線や高速道路といった交通インフラの整備に関して、四経連から問題提起があった。

これに対して、経団連から、平時の利便性と災害などの有事の強靭性を両立する「フェーズフリー」なインフラ整備の推進や、大規模災害の発生を念頭に置いた実効性のある事業継続計画(BCP)の構築などが重要である(永野毅副会長)との発言があった。

最後に、冨田審議員会議長が、地域ぐるみの産業競争力強化、人口減少下における地域活力の維持・向上、地域の特性を生かした広域周遊観光、DX、インフラ整備などは、四国に限らず、日本の各地域が抱える重要な課題であり、本日の議論は、日本全体の「Future Design」を考えるうえで、大変重要な示唆であったと総括した。

◇◇◇

神山まるごと高専

翌4日、一行は、「テクノロジー」「デザイン」「起業家精神」を学ぶ高等専門学校として2023年4月に開校した神山まるごと高専(徳島県神山町)を視察。資金面や教育面での同高専の特長について説明を聴くとともに、授業の様子や寮を見学した。

【総務本部】

「2025年1月1日 No.3665」一覧はこちら