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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年4月4日 No.3632 OECD閣僚理事会議長国を務めることの意義 -OECD諮問委員会

小野氏

経団連は3月5日、東京・大手町の経団連会館でOECD諮問委員会(稲垣精二委員長)を開催した。外務省の小野啓一外務審議官(経済担当)から、現下の国際情勢においてわが国がOECD閣僚理事会の議長国を務める意義について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 現下の国際情勢とわが国の経済外交

2024年、われわれは主要国の選挙、地域紛争、国際的な構造変化という三つの大きな課題に直面している。特に、新興国・途上国の声が大きくなるなか、従来の国際機関の体制がほころびをみせており、先進国としていかに対応するかが問われている。

こうしたなか、わが国の経済外交を進めるに当たって、三つのことを念頭に置いている。第一は、23年のG7の成果・主張を引き継ぐことである。G7では法の支配とグローバルサウスへの関与の強化という二つの視点に加え、インド太平洋という通底するテーマを切り口に議論した。第二は、EPA・FTA等の新しいルール作りの旗を振ることである。第三は、さまざまなリスクに備えることである。

■ 24年OECD閣僚理事会議長国のねらい

わが国が議長を務める24年の閣僚理事会は、5月2~3日に、「変化の流れの共創~持続可能で包摂的な成長に向けた客観的で高い信頼性に裏付けられたグローバルな議論の先導」とのテーマで開催される。

議長国としてのねらいは三つある。第一は、経済社会分野における議論を主導することである。OECDの加盟38カ国は「共通の価値」のもとで結束しており、経済社会分野における議論を主導し、G7やG20と積極的に連携しつつ、国際課税やコーポレートガバナンスなど、ビジネス界に影響する分野でもルール・スタンダードを形成している。第二は、G7議長年の成果を敷衍することである。生成AI、DFFT(信頼性のある自由なデータ流通)、自由貿易、経済的強靭性等の主要議題を継続的かつシームレスに主導したい。第三は、東南アジアへのアウトリーチである。

■ OECDによる東南アジアへのアウトリーチ

OECDは、東南アジアを「戦略的優先地域」と位置付けている。10年前にわが国が立ち上げを主導したOECD東南アジア地域プログラム(SEARP)等を通じ、東南アジア諸国のOECDルール・スタンダードへの参加や国内改革を促している。インドネシアのOECD加盟審査開始やタイのOECD加盟申請など、足元で進展がみられるのは心強い。世界経済の成長センターである東南アジアにOECDの国際スタンダードを普及させることは重要である。

日本としても、OECDとグローバルサウスとの連携強化の後押し、欧州偏重の是正とアジアの視点・声の拡大、日系企業が進出しやすいビジネス環境の整備――の三つの視点から、東南アジア地域プログラムを重視している。

【国際経済本部】

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