経団連は2月21日、東京・大手町の経団連会館で経済法規委員会競争法部会(大野顕司部会長)を開催した。公正取引委員会経済取引局調整課の鈴木健太企画官と五十嵐收課長補佐、経済産業省経済産業政策局競争環境整備室の杉原光俊室長と長谷川圭太同室長補佐から、「グリーン社会の実現に向けた事業者等の活動に関する独占禁止法上の考え方」(グリーンガイドライン)の改定について説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。
■ 公取委
公取委は2023年3月、グリーンガイドライン(ガイドライン)を公表した。ガイドラインは、企業がグリーントランスフォーメーション(GX)に取り組むことを支援するものである。
「経済財政運営と改革の基本方針2023」(23年6月閣議決定)などにおいて、GXの実現に向けて、設備の共同廃棄、原材料の共同調達、データ共有等の課題をガイドラインで明確化する方針が示された。これを受けて、ガイドラインの改定案について、24年3月18日までパブリックコメントを募集している。改定案のポイントは次の3点である。
第一に、共同の設備廃棄や共同調達の取り組みに関する考え方をさらに明確化した。生産数量などの競争上重要な事項に係る制限行為であっても、海外からの輸入圧力や需要者からの競争圧力、隣接市場の影響などにより、独禁法上問題とならない場合を明示している。
第二に、脱炭素効果を主張する場合の方法や評価について記載を追加した。温暖化対策推進法または省エネ法(注)に基づく算定方法等を用いて算定可能であることを明確化している。
第三に、事業者のニーズを踏まえ、想定例や解説などを追加した。情報発信や情報交換、優越的地位の濫用行為の事例や、企業結合の市場画定に関する解説や想定例を追加している。
パブリックコメントの結果を踏まえ、今春の公表を目指してガイドラインを改定する予定である。今後も相談事例や市場の状況等を踏まえ、ガイドラインのさらなる見直しを継続的に検討する。各社には引き続き、相談制度を積極的に利用してもらいたい。
■ 経産省
経産省は公取委と連携し、一部の産業界や企業からガイドライン改定案に対する意見を聴取した。GXの取り組みを進める企業が、情報交換、共同調達、共同廃棄などで連携する際の課題について、さまざまな業界から指摘があった。また、ガイドライン改定案における脱炭素に関する記載は、公取委が柔軟に対応する姿勢を示していると評価する声が聞かれた。
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説明の後、グリーン化の取り組みに対する独禁法の判断枠組みや、日本企業が進出している主要国の競争当局の規制とわが国のガイドラインの整合性などについて意見交換した。
(注)エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律
【経済基盤本部】