世界の分断傾向が強まるなか、経団連は、自由で開かれた国際経済秩序の再構築を追求しており、それには米国のリーダーシップの発揮が不可欠である。このような問題意識から、経団連のアメリカ委員会(澤田純委員長、早川茂委員長、植木義晴委員長)は2月21~24日、早川審議員会副議長・アメリカ委員長を団長とする11社25人のミッションを米国・ワシントンDCに派遣し、連邦行政府・経済界を訪問するとともに、全米知事会(NGA)冬季会合に参加した。各懇談の概要は次のとおり。
■ 連邦行政府・経済界
商務省、通商代表部(USTR)、エネルギー省、財務省、国務省を訪問した。各懇談では、経済安全保障の確保やエネルギー問題等といった日米が共有する課題への対処にあたり、両国関係の強化がこれまで以上に重要であること、その際に民間経済界が果たす役割やその意義などで一致した。また、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の実現に向けて、インド太平洋経済枠組み(IPEF)の取り組みだけでなく、米国が環太平洋パートナーシップ(TPP)に復帰することが戦略的に重要であることを訴え、一定の理解を得た。
さらに、ビジネスラウンドテーブルのジョシュア・ボルテンCEOとも懇談。大統領選を見据えた米国の政治経済情勢や日米関係の展望等をめぐり率直に意見交換した。
■ 州知事・DC市長
企業の事業活動に大きな影響を及ぼす州との関係強化のため、NGA冬季会合に参加するとともに、ヘンリー・マクマスター サウスカロライナ州知事、J・B・プリツカー イリノイ州知事、ジム・ピレン ネブラスカ州知事、ローラ・ケリー カンザス州知事、グレン・ヤンキン バージニア州知事らと個別に面会、懇談した。加えて、ミュリエル・バウザー ワシントンDC市長を表敬訪問した。
経団連側から、米国各地において日本企業が長年にわたり、直接投資による雇用創出等を通じて州経済の発展に貢献していることを発信。これに対し、各知事・市長は日本企業による投資に謝意を表すとともに、州・市が重点を置く政策や社会課題、投資先としての魅力等について説明し、さらなる投資へ期待を示した。こうした投資の前提として、自由で公正な貿易投資を可能とする国際秩序が必要不可欠であり、日米がこの課題に向けて協働していく重要性を確認した。
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同ミッションでの意見交換を通じ、日米が連携の核となり、自由で開かれた国際経済秩序の再構築を主導する必要性を再確認することができた。経団連は今後も、連邦だけでなく、州・市などとの重層的な対話を積極的に実施し、米国と共に課題の解決に取り組んでいく。
【国際経済本部】