経団連は1月16日、「第3回企業行動憲章に関するアンケート結果」を公表した。同アンケートは、2023年8~9月にかけて、経団連会員企業を対象に実施(回答企業数286社、回答率19%)。22年12月に全面改訂した「企業行動憲章実行の手引き」の実践状況、「Society 5.0 for SDGs」および「ビジネスと人権」に関する取り組みや課題、事例等を把握し、企業行動憲章に対する会員企業の一層の理解促進、実践につなげることなどを目的としたもの。概要は次のとおり。
■ 企業行動憲章の実践状況
「実行の手引き」の51項目(注)のうち、過去3年において最も重視した項目、今後3年先において最も重視する予定の項目いずれも「グリーントランスフォーメーション(GX)の推進(7-1)」が最多で、次が「多様な人材の就労・活躍(6-1)」となった。
今後3年先において最重視する予定の項目のうち、過去3年の傾向より大きく増加している項目は、「GXの推進(7-1)」「人権デュー・ディリジェンス(DD)の適切な実施(4-3)」「多様な人材の就労・活躍(6-1)」「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進(1-1)」「従業員のキャリア形成・能力開発(6-4)」となった。気候変動問題や、人材育成および人的資本経営に関する課題への関心が高い。加えて、ビジネスと人権の問題への対応が急務になっていることが分かる。
■ 「Society 5.0 for SDGs」への取り組み
SDGsを活用した取り組みについては、「優先課題の決定」(83%)が最も多く、次いで「事業活動をSDGsの目標にマッピング」(82%)となり、いずれも8割を超えた(図表1)。前回(20年度)と比較して、「報告とコミュニケーション」(80%)が、49ポイントの大幅増となった。このことから、金融資本市場をはじめ各ステークホルダーにおける意識の高まりを背景に、情報開示および幅広いステークホルダーとの建設的対話(企業行動憲章第3条)を重視するとともに、サステナビリティを経営に組み込む(同第10条)企業が増えていることが分かる。
また、SDGsに貢献する代表的な事業で、かつ評価を実施している取り組みについて、208社から計421事例が寄せられた。
■ 「ビジネスと人権」への取り組み
「国連『ビジネスと人権に関する指導原則』に基づき取り組みを実施している」(一部実施や実施予定を含む)と回答した企業は76%と、前回調査から40ポイント増えた。自主的な取り組みは着実に進展している(図表2)。
また、国内外のサプライチェーンにおける人権DDの取り組みについては、136社から計191事例が寄せられた。各社には、優れた事例を参考にしつつ、自主的な取り組みをさらに推進することが期待される。
(注)かっこ内の番号・枝番は同手引きでの各項目を指す
【SDGs本部】