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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年1月18日 No.3621 ガバナンス・サミット2023を開催 -イノベーティブな戦略構築を支えるコーポレートガバナンスのあり方を議論

経団連は12月11日、経済産業省、ガバナンス・サミット2023実行委員会と共に東京・大手町の経団連会館で「ガバナンス・サミット2023」を開催した。同サミットは、日本企業が取り組むべきガバナンス改革の方向性について、各界の第一人者を招き、さまざまな視点から議論することを目的としている。2020年から毎年開催され、今回で4回目(注)

冒頭、ガバナンス・サミット2023実行委員会の榊原定征委員長が登壇。日本企業のガバナンス改革の成果に触れつつ、事業環境が激変するなかで、ガバナンス改革の「実質化」を通じて、(1)企業の成長戦略と社会・地域の課題解決に向けた活動との一体化(2)短期の収益確保と中長期の成長を両立――による「攻め」の経営を行うことの重要性を強調した。

続いて、経団連の十倉雅和会長があいさつ。経団連会長2期目の現在、格差の解決に向けて「成長と分配の好循環」を通じた日本経済の活性化を目指していると強調。「取り組みの中心には企業がある。『守り』と『攻め』の両面からコーポレートガバナンスをとらえた経営が重要である」と述べた。

経産省経済産業政策局の山下隆一局長が、企業を取り巻く構造変化とコーポレートガバナンスをめぐる政府の取り組みについて講演。山下氏は、企業を取り巻く外部環境が複雑化するなか、企業の予見可能性を高めるため、経済産業政策の新機軸を打ち出し、(1)価値創造経営の推進(2)企業買収における行動指針の公表(3)サステナビリティトランスフォーメーション(SX)銘柄の創設――等を進めていると説明した。また、ガバナンス改革のさらなる進展に向けて、各社にとって最適なガバナンス体制の構築を後押しする施策を推進する旨、表明があった。

国連グローバル・コンパクト・ボードのポール・ポールマン副議長は、ビデオメッセージを寄せた。そのなかで、日本のガバナンス改革の進捗を評価しつつも、今後のガバナンス改革のさらなる進展の方向性として、ESGの要素の一層の統合や国際基準への適合に対する期待を示した。

ブラックロック・ジャパンの江良明嗣インベストメント・スチュワードシップ部長は、「企業が長期的に経営方針を定める大きな岐路」にあると指摘。(1)企業のリーダーと社外取締役によるガバナンス(2)企業と投資家の相互の信頼関係構築と建設的な議論(3)ガバナンス改革の実質化――の三つが重要になると述べた。

次に、AGCの島村琢哉会長が、「両利きの経営とそれを実践するためのコーポレートガバナンス・組織カルチャー変革」について講演した。島村氏は、「10年から4期連続で営業利益の減少を経験したことをきっかけに、企業としての存在意義、自社の強みについて再確認した」と述べ、「ガラス事業から素材事業へのポートフォリオ転換や組織カルチャーの見直しにつながった」と強調した。そうした取り組みが結果的に「両利きの経営」と呼ばれる、大企業における第二の創業を体現するものであったと説明した。

その後、パネルディスカッションが行われた。日本電信電話の島田明社長は、IOWN等の省電力サービス、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組み等について、キリンホールディングスの磯崎功典社長は、東日本大震災をきっかけに社内の反対を押し切ってCSV経営へ転換したこと、独自性を生かしたヘルスライフサイエンスへの挑戦等について、それぞれ紹介。そのうえで、ピープルフォーカス・コンサルティングの黒田由貴子取締役・ファウンダー、経産省経済産業政策局産業組織課の中西友昭課長、大江橋法律事務所の国谷史朗パートナー弁護士を交え、おのおのの立場、経験をもとに、企業のイノベーションにつながるガバナンス改革について議論した。

(注)会議の内容や資料は、下記ウェブサイトに掲載予定
ガバナンス・サミット2023ウェブサイト
https://gsummit.jp/

【ソーシャル・コミュニケーション本部】

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