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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2024年1月18日 No.3621 今後の金融行政の方向性 -金融・資本市場委員会

栗田氏

経団連は12月14日、東京・大手町の経団連会館で金融・資本市場委員会(日比野隆司委員長、佐藤雅之委員長)を開催した。金融庁の栗田照久長官から、今後の金融行政の方向性について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 企業情報の開示の見直し

四半期開示について、金融商品取引法(金商法)に基づく四半期報告書と取引所規則に基づく四半期決算短信に重複がみられ、コスト削減や効率化の観点から見直すべきとの指摘があった。そこで、2023年11月成立の改正金商法に基づき、24年4月から、第1・第3四半期の四半期報告書を廃止し、四半期決算短信に一本化する。

サステナビリティ情報開示について、23年6月に国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)がS1・S2基準を最終化した。S1基準は、サステナビリティ関連の全般的な開示要件を設定している。S2基準は、温室効果ガス排出量について、事業者の活動に関連する他社の排出の開示も求めている。

これを受けて、日本ではサステナビリティ基準委員会(SSBJ)が国内基準の策定作業を進めている。25年3月までに日本版S1・S2基準を最終化する予定である。金融庁においても、開示の対象企業、適用時期および第三者保証について、関係者の意見を聴きながら検討する。

■ 資産運用立国の実現

「成長と分配の好循環」の考え方をインベストメントチェーンに当てはめると、家計金融資産の半分以上を占める預貯金が投資に回ることで、スタートアップを含む企業の成長が促進される。その果実が配当として家計に回ることで、新たな消費や投資につながる。このような循環を目指し、22年、政府は「資産所得倍増プラン」を策定した。これに基づき、NISAの抜本拡充・恒久化を実施するほか、「金融経済教育推進機構」を中心に金融リテラシーの向上に取り組む。金融機関に対しても、顧客本位の業務運営を求めている。

23年12月には「資産運用立国実現プラン」を決定した。資産運用業とアセットオーナーシップの改革に向けて、アセットオーナー共通のプリンシプルの策定等に取り組む。また、資産運用業への国内外からの新規参入と競争を促進するため、参入障壁を是正するとともに、金融・資産運用特区を創設する。加えて、対外情報発信・コミュニケーションを強化すべく、資産運用フォーラムを立ち上げる。

■ コーポレートガバナンス改革の実質化

投資の受け皿となる企業においても、コーポレートガバナンス改革の実質化に取り組む必要がある。上場会社には、(1)収益性・成長性を意識した経営(2)取締役等の多様性向上を含むサステナビリティを意識した経営――を推進するようお願いしたい。

資産運用会社やアセットオーナーにおいても、投資先企業との対話により、スチュワードシップ責任を果たしてもらう。投資家側から、大量保有報告制度における重要提案行為や共同保有者の範囲が不明確であることが、企業との対話の妨げになっているとの指摘がある。そのため、範囲の明確化を図る。他方で、企業側において、対話の相手となる実質株主を把握できるよう、欧米諸国の制度を参考に、実質株主の透明性向上に資する仕組みを検討する。

【経済基盤本部】

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