経団連は9月14日、議決権行使助言会社(助言会社)との意見交換会を東京・大手町の経団連会館で開催した。かねて助言会社との対話の機会が乏しいとの声が会員企業から寄せられていた(注)ことを踏まえたもの。インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)日本代表の石田猛行氏、グラス・ルイス・ジャパン アジアリサーチ部ヴァイスプレジデントの上野直子氏から、説明を聴くとともに意見交換した。経団連側からは、副会長8人、審議員会副議長1人、各社担当役員10人が出席した。
助言会社の性格について、石田氏から、「ISSは、投資家の総意に基づいて作成したポリシーに基づく調査データ(議案への賛否の推奨)をクライアントである投資家に提供するデータプロバイダーである。最も重視しているのはデータの正確性の担保である」旨の発言があった。また、上野氏からは、「グラス・ルイスは、グローバルなベストプラクティスを日本市場向けに調整したポリシーに基づき、議案への賛否の推奨をクライアントである投資家に提供する立場もある一方、ガバナンス関連の正確なデータを投資家に提供する、データプロバイダー的な立場でもある。最も重視しているのはデータの正確性の担保である」旨の発言があった。
そのほか、「企業に求めるのは、情報の開示、公開であり、個別に非公開情報を提示されても判断は変えられない」「日本市場の特異性は理解したうえで、役員の独立性や多様性については国際的な基準を緩和した最低限のものを適用している」等の説明があった。それに対し、出席企業からは、「外形基準を当てはめた判断だけでは、コーポレートガバナンス・コードが求めるエクスプレインによる建設的対話が担保されない。対話によって、個別の事情を理解したうえでの助言が必要」「インベストメントチェーンの一員として、助言会社こそ説明責任を果たし、対象企業の価値向上に貢献すべき」といった意見が出された。
(注)「『コーポレートガバナンス改革の実質化に向けたアクションプログラム(案)』に対する意見」
(4月19日公表)を参照
【ソーシャル・コミュニケーション本部】