経団連は9月14日、東京・大手町の経団連会館で日タイ貿易経済委員会(鈴木善久委員長、鈴木純委員長)を開催した。来日したタイ投資委員会(BOI)のソンクリン・プロイミー副長官から、タイの新投資奨励政策と同政策実施後のタイの状況について説明を聴くとともに意見交換した。概要は次のとおり。
■ 「新しい経済」の実現に向けて施策を重点化
2023年1月3日に発効した新投資奨励政策は、新産業の育成、サプライチェーンの強靭化、国際的なハブ機能の充実に向けて、外資企業によるタイ国内への投資を誘致するものである。
同政策では、奨励対象業種が7分類から10分類に改定された。タイが目指す「新しい経済」の実現に向け、BCG(バイオ、グリーン、エネルギー、医療・ヘルスケア等を含む経済モデル)、電気自動車(EV)、スマートエレクトロニクス、デジタル技術、クリエーティブ産業等の分野の奨励に優先的に取り組む。
■ 各種優遇措置を実施
このため、同政策における優遇措置として、奨励対象業種に10~13年間の法人税免除の恩典を新たに付与する。ターゲット産業における研究開発施設の設置、東部経済回廊(EEC)など特定地域およびサイエンスパークにおける事業拠点等の設立に、この恩典が適用される。また、優遇措置で定められた投資期間、投資プロジェクト数、投資額等の条件を満たす場合や、タイ国内に地域統括本部を含む拠点を移転する場合、また、投資内容が指定された社会貢献事業に該当する場合においても、同じく恩典が適用される可能性がある。
同政策における恩典の詳細や適用可否に関する相談については、BOIの日本事務所が対応する。
■ 日本は引き続き重要なパートナー。投資拡大に期待
22年の海外直接投資(FDI)申請額では、中国が第1位、日本は第2位であったが、プロジェクト数では依然として日本が中国を上回っている。今後、投資申請が予定されているプロジェクトも多数あり、タイにとって日本は引き続き重要なパートナーである。
BOIの役割の一つは、インテグレーターとしてタイ政府と各企業をつなぐことである。今後も同政策の方針や恩典について、日本企業の意見等を踏まえて充実させていく。
【国際協力本部】