経団連は7月7日、東京・大手町の経団連会館で教育・大学改革推進委員会(小路明善委員長、橋本雅博委員長)を開催した。内閣官房教育未来創造会議担当室の瀧本寛室長から、政府の教育未来創造会議が4月27日に公表した第二次提言「未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ」(J-MIRAI)について、文部科学省総合教育政策局の藤江陽子局長から、6月16日に閣議決定された「教育振興基本計画」(計画期間=2023~2027年度)について、それぞれ説明を聴くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。
■ 教育未来創造会議第二次提言(瀧本氏)
教育未来創造会議は、新たな留学生派遣・受け入れ計画として第二次提言を策定した。日本人学生の海外派遣や外国人留学生の受け入れを促進するために、質の向上をさらに図る視点も重視しつつ、派遣・受け入れ双方において、達成目標および具体的方策を示している。
同提言では、33年までの目標として、(1)日本人学生の海外留学者数を年間で50万人(コロナ禍前は22.2万人)、うち長期留学者数15万人(同6.2万人)(2)外国人留学生の受け入れ数40万人(同31.8万人)(3)外国人留学生の卒業後の国内就職率60%(同48%)――等を掲げている。
目標達成のため、まず日本人学生については、高校段階からの留学促進とともに、大学・大学院での中長期留学者数の拡大を図っていく。特に学位取得を目指す大学院生の留学を推進したい。一方、外国人留学生については、多様な国・地域から、高い志を有する優秀な人材の受け入れを促していく。また、海外留学した日本人学生の就職の円滑化とともに、企業等への受け入れや起業を通じた、外国人留学生の日本への定着を進めていく。
これらの取り組みを後押しすべく、国は給付型奨学金の拡充等を図るが、企業においても官民協働海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN」への支援や、奨学金の代理返還による税額控除の活用などに協力をお願いしたい。
内閣官房は、夏ごろまでに、同提言の具体的方策に関する工程表を策定する予定である。
■ 新たな教育振興基本計画(藤江氏)
第4期となる新たな教育振興基本計画は、予測困難な時代における教育の方向性を示すものであり、コンセプトとして「持続可能な社会の創り手の育成」と「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」を掲げている。
このコンセプトのもと、(1)グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成(2)誰一人取り残されず、すべての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進(3)地域や家庭で共に学び支え合う社会の実現に向けた教育の推進(4)教育デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進(5)計画の実効性確保のための基盤整備・対話――を基本的な方針として示している。さらに、16の目標と、目標ごとに、その達成に必要な基本施策および達成状況を把握するための指標を定めている。
同計画に示した課題のなかでも、「教師不足」については、喫緊の対応が求められている。中央教育審議会では特別部会を設置し、教師の確保に向けた環境整備について検討している。経済界も民間企業から学校への入職などに協力してほしい。
【SDGs本部】