経団連は7月5日、全国経済人連合会(全経連)と第12回アジア・ビジネス・サミットを韓国・ソウルで共催した。同サミットは、経団連の提唱により2010年から開催。アジアの主要な国・地域の経済界のトップが一堂に会するなか、共通の課題への対応等について意見交換を行い、共同声明を取りまとめてきた。今回は11の国・地域から13の経済団体(注)が参集し、「アジア経済への回帰」「よりよいアジアへ向けた挑戦」「グローバリゼーションと貿易政策」の三つのセッションにおいて議論を行った。経団連からは十倉雅和会長、佐藤康博副会長、東原敏昭副会長、遠藤信博副会長、久保田政一副会長・事務総長が出席した。
■ 地球規模課題の解決に向けてアジア各国・地域の協力が重要
開会にあたり、全経連の金秉準会長職務代行は、「アジアが直面している課題の解決に向けて、各国・地域の経済界の協力が重要である。アジア域内の人的往来の活性化を図り、ビジネスの活性化につなげていきたい」とあいさつした。
続いて、十倉会長は、「アジアの魅力をさらに高めるため、カーボンニュートラルの実現をはじめ地球規模課題の解決に着実に成果を上げていく必要がある。アジアでは、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定や環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)が整備されており、こうした枠組みを成長につなげていくことが課題である」との認識を示した。
■ 各セッションにおいて活発な議論を展開
セッション1「アジア経済への回帰」では、各国が自国の経済情勢等を発表。アジア域内でのサプライチェーン強靭化の重要性、重要資源の確保、域内での人材育成の協力等について議論した。
セッション2「よりよいアジアへ向けた挑戦」において、気候変動対策、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進などをめぐり意見交換した。デジタル技術を活用したSociety 5.0 for SDGsの実現や、信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)の確立には、各国・地域の法制度の相互運用性の向上が必要との認識で一致した。
セッション3「グローバリゼーションと貿易政策」では、一層の貿易促進に向けた方策について議論した。ルールに基づく自由で開かれた国際経済秩序の再構築の重要性が指摘された。また、経済連携に関連して、(1)RCEP協定を着実に履行すべき(2)CPTPPについて、盛り込まれた高水準のルールを満たすことのできる国・地域への拡大を推進すべき――との発言があった。アジアのサプライチェーンの強靭化・安定化に取り組む必要性も強調された。
閉会にあたり、これらの議論を踏まえ、共同声明を取りまとめた。また、次回サミットは、東京で開催することで合意した。
(注)経団連、中国企業連合会、中国国際貿易促進委員会、インド工業連盟、インドネシア商工会議所、全経連(韓国)、マレーシア日本経済委員会、ミャンマー商工会議所連合会、比日経済委員会(フィリピン)、シンガポール経団連、東亜経済協会(台湾)、工商協進会(台湾)、タイ商業・工業・金融合同常任委員会
【国際協力本部】