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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年7月20日 No.3599 規制改革の進捗と課題/大槻規制改革推進会議議長から聴く -行政改革推進委員会企画部会

左から大槻氏、辻氏

経団連は、2022年9月に提言「2022年度規制改革要望」を公表し、岡田直樹内閣府特命担当大臣はじめ政府関係者に、その実現を働きかけてきた。23年6月16日に「規制改革実施計画」が閣議決定され、同提言で要望した項目の約6割で一定の進捗を確認したところである。

そこで6月30日、東京・大手町の経団連会館で行政改革推進委員会企画部会(竹村信昭部会長)を開催し、規制改革推進会議の大槻奈那議長と内閣府規制改革推進室の辻貴博次長から、規制改革の進捗と課題等について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 大槻氏

日本の潜在成長率は、資本・労働投入量の減少を背景に低迷している。自然体では短中期での改善は難しく、人手不足の今こそ規制改革の推進が必要となる。

規制改革推進会議は、(1)デジタル化はじめ技術革新による全要素生産性の向上(2)設備投資の増加や資金調達の円滑化・多様化による資本投入量の増加(3)働き方改革や円滑な労働移動による労働投入量の増加――に資する規制改革を通じて、付加価値の向上ひいては経済成長につなげることを目指している。

具体的には、(1)全要素生産性の向上=医療データ利活用の促進や空飛ぶクルマなど新たなモビリティーの推進(2)資本投入量の増加=建設業の技術者等の労働の場所規制の柔軟化(3)労働投入量の増加=医療介護のタスクシェア・タスクシフトの促進――などを進めてきた。

中長期的には、スタートアップ支援、労働活性化と流動性の拡大、リスキリング、機械化や自動化へのインセンティブ付け、教育の量的・質的向上等に資する規制改革に取り組んでいく必要がある。また、規制改革は30年先を見据えた取り組みが不可欠であり、例えば、新制度導入に対する過度なゼロリスク志向からの脱却や、将来からのバックキャスティングによる改革が重要である。

■ 辻氏

政府の掲げる「新しい資本主義」は、社会課題の解決を成長のエンジンへと転換し、持続可能な経済社会を構築することを目指している。その実現のため、イノベーションやスタートアップの活躍を阻む規制の改革が必要とされている。

今後、規制改革実施計画に沿い、個別の要望項目は制度所管省庁において検討が続けられる。それらの確実な実現に向けて経済界の協力をお願いしたい。

【産業政策本部】

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