経団連は6月5日、「『男性の家事・育児』に関するアンケート調査結果」を公表するとともに、十倉雅和会長名で仕事と家事・育児の両立に向けた取り組みの推進を全会員に呼びかけた。
同調査は、企業における育児休業の取得状況や男性の家事・育児の促進に関する施策等を把握するため実施したもの。経団連会員企業278社が回答した(回答率18.3%)。概要は次のとおり。
■ 育児休業取得率
2022年の男性の育児休業取得率は47.5%(198社)となり、21年(29.3%、194社)から大きく上昇した。この背景には、22年に育児休業取得対象者への個別周知・意向確認の義務化や、産後パパ育休の創設など改正育児・介護休業法が施行された影響があると考えられる。
他方、女性の取得率は96.4%であった。
■ 男性の家事・育児の促進に向けた取り組み
男性の家事・育児を促進するうえでの課題としては、「代替要員の不足」(83.5%)が最多で、「アンコンシャス・バイアスが存在するなど家事・育児と仕事を両立しづらい職場風土」(67.3%)、「長時間労働や硬直的な働き方」(59.4%)などが多かった。
また、効果があると感じた施策としては、「男性の育児休業取得促進に関する方針や関連制度等についての社内周知」(44.6%)が最も多く、これに「テレワーク制度の導入」(36.7%)、「男性の育児休業取得を促す積極的な働きかけ」(30.2%)などが続いている。
今後、取り組む必要がある施策としては、「男性が育児休業を取得しない・できない理由の把握、状況の分析、改善」(42.1%)が最も多い。このほか、「代替要員の確保」(36.0%)、「仕事を属人化させないための工夫」(31.3%)など円滑な業務継続のための施策や、「経営トップからのメッセージ発信」(29.9%)など意識改革のための施策が多く挙げられている(図表参照)。
■ 男性社員に育児休業取得を促す取り組み・工夫
男性社員に育児休業の取得を促すため、回答企業においては、(1)経営トップ等から対象者へのメッセージ発信(2)複数回あるいは早期の意向確認(3)面談等による丁寧な説明・情報提供(4)上長・未取得者への働きかけ(5)育児休業経験者とのネットワーキングの実施――などが積極的に行われている。
さらに、育児休業を取得しやすい職場環境・雰囲気づくりのため、(1)育休取得促進に向けた社内の機運醸成(2)ガイドブック・マニュアルの策定(3)独自の支援制度の整備(4)育児休業取得の目標設定――などの施策が実施されている。
■ 企業への呼びかけ
同調査結果を踏まえ、十倉会長から全会員に対して、働き方改革により、男女が共に仕事と家事・育児を両立できる環境を整備することを呼びかけた。特に、男性の育児休業については、政府が掲げる取得率目標の達成だけでなく、男女が真にイコールパートナーとして、家事・育児を実質的に担うに十分な日数の取得に挑戦することを求めた。経団連は、今後、好事例の周知など会員企業の取り組みを支援していく。
【労働法制本部】