経団連は3月3日、経済産業省が主催する「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)官民投資フォーラム」を共催した。AZECは、アジア各国が脱炭素化に向けて協調し、エネルギー安全保障を確保しつつ、共に経済成長を目指すものであり、2022年1月の施政方針演説において岸田文雄内閣総理大臣が提唱した。同フォーラムには、日本および多くのASEAN諸国と豪州から、閣僚を含む政府関係者、国営企業トップ、日本企業や政府系機関等が登壇し、AZECの理念と政策・関連ビジネスの展望を共有した。概要は次のとおり。
冒頭、小堀秀毅経団連副会長・環境委員長(旭化成会長)があいさつ。グローバルなカーボンニュートラルの実現には、経済発展とエネルギー需要の増大が見込まれるアジア地域が一体となって取り組むことが重要であり、アジア特有の事情を踏まえた現実的なトランジションが必要と強調した。AZEC構想の具体化に向けて、日本のゼロエミッション技術の普及・展開、サプライチェーン構築等を通じ、これまで培ってきたアジア地域との信頼関係を基礎として、積極的に貢献していく意思を表明した。
アジア関係国のスピーチでは、インドネシア、フィリピン、マレーシア、ベトナムの閣僚・国営企業トップから、脱炭素化に向けた野心的な取り組みを継続する旨とともに、日本の技術やファイナンスへの期待、各国独自の事情や課題への理解を求める声があった。豪州は、水素の供給等、日本とのエネルギー協力に積極的な姿勢を示した。
また、日本企業は、水素やアンモニア、再生可能エネルギー、バイオマス、合成メタン等のゼロエミッション技術の開発状況や、アジア地域における実証プロジェクト等、日本の強みをアピールした。日本の金融機関や政府系機関は、日本の支援策を説明した。
閉会あいさつで西村康稔経済産業大臣は、AZECは「パートナー国が基本理念を共有し、協働するプラットフォーム」であると説明。政府としてもゼロエミッション技術の開発や国際的サプライチェーン構築に向けて支援すると表明した。
◇◇◇
同フォーラム翌日の4日、AZEC関係閣僚会合が開催され、「AZEC共同声明」を取りまとめた(参加国=日本、豪州、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)。同共同声明では、アジア地域のゼロエミッション化に向け、エネルギートランジションの加速にコミットするとともに、今後原則年1回、閣僚会合を開催することとした。また、日本が発表した議長総括において、さらに議論を進める論点として、LNGの上流開発強化、水素・アンモニアの役割、安全で責任ある重要鉱物資源のサプライチェーン構築等を提示した。
【環境エネルギー本部】