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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2023年2月16日 No.3579 資源自律経済の確立の必要性 -環境委員会・廃棄物・リサイクル部会

畠山氏

経団連は1月24日、環境委員会(小堀秀毅委員長、野田由美子委員長)、廃棄物・リサイクル部会(山田政雄部会長)の合同会合をオンラインで開催した。経済産業省産業技術環境局の畠山陽二郎局長から、資源自律経済の確立の必要性について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 三つの問題意識

大量生産・大量消費・大量廃棄の「線形経済」からサーキュラー・エコノミー(CE)へのトランジションは、待ったなしの状況となっている。具体的には、次の三つの問題意識がある。

  1. (1)資源制約・リスク
    世界の資源需要が増大するなか、日本の調達力は総体的に下落傾向が続くと見込まれる。特定の国への依存度が高い資源も存在することから、国際情勢が不安定化するなかにおいて、自給率の低い日本としては、資源の自律性を確保する必要性が高まっている。

  2. (2)環境制約・リスク
    廃棄物の越境移動を制限する国が増加するなか、廃棄物対策の観点から、再生利用率の向上など、循環資源の利活用を一層推進することが重要である。
    また、プラスチックや金属など、素材の製造には化石資源の3割強が利用されている。そのため、カーボンニュートラル実現には、素材の脱炭素化が不可欠となる。再生材・バイオ資源の活用や、シェアリング・長期利用の普及等が、効率的なCO2削減のために求められる。

  3. (3)成長機会
    欧米では、規制の導入や先進企業の調達方針の厳格化等により、CEへの対応が市場への参加条件として求められる可能性が高い。CE関連市場は世界で大幅な拡大が予想されており、投資資金の流入もみられることから、こうした動きに対応することは、成長の機会になり得る。

■ 経産省としての対応

このような問題意識のもと、経産省では2022年、「成長志向型の資源自律経済デザイン研究会」を立ち上げた。23年度中には、日本が目指すCEの方向性を「成長志向型の資源自律経済戦略」として取りまとめ、24年度以降、同戦略に基づく総合的な政策パッケージの検討を進めていく。

さらに、グリーントランスフォーメーション(GX)投資の一環として、積極的に取り組みを進める先行企業等への支援を含め、必要な環境整備を実施する。あわせて、G7や大阪・関西万博等の場を活用し、日本がCEのグローバルリーダーとして、CEにかかる国際的な議論をリードしていく。

■ 産業界への期待

グローバルな競争を勝ち抜くためには、異業種・同業他社との連携を含めた「動静脈連携」(別掲記事の注を参照)を通じて、CEの取り組みを前提とする産業構造・ビジネスモデルに大きく転換していくことが必須となる。政府としても、資源・環境制約への対応を、新しい成長につなげる資源循環市場の創出に向けて政策を推進する。産業界においても問題意識を持って、取り組みを進めてほしい。

また、産業界と政府の連携も必須であると考えている。企業・関係機関・関係団体との有機的な連携のもと、日本型CEモデルの検討を加速させていきたい。

【環境エネルギー本部】

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