1. トップ
  2. Action(活動)
  3. 週刊 経団連タイムス
  4. 2022年10月20日 No.3563
  5. 経産省のGXに向けた取り組み

Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2022年10月20日 No.3563 経産省のGXに向けた取り組み -山下経産省製造産業局長から聴く/産業競争力強化委員会

山下氏

経団連は9月28日、産業競争力強化委員会(橋本英二委員長、岡藤正広委員長)をオンラインで開催した。経済産業省製造産業局の山下隆一局長から、GX(グリーントランスフォーメーション)に向けた取り組みについて説明を聴くとともに懇談した。概要は次のとおり。

政府では、2050年カーボンニュートラル、30年度に温室効果ガス排出量46%削減という二つの目標に向け、グリーン成長戦略(21年6月策定)、エネルギー基本計画(21年10月閣議決定)に加えて、5月に「クリーンエネルギー戦略 中間整理」を公表した。

今回の中間整理では、ロシアによるウクライナ侵略や電力需給逼迫を踏まえ、エネルギー安全保障の確保と、それを前提とした脱炭素の取り組みを加速させるためのエネルギー政策の課題を整理した。

とりわけ、エネルギー安全保障については、G7各国がロシアへの制裁を強化していることから、長期的な脱炭素のトランジション(移行)とともに、短期的な脱ロシアのトランジションが必要となる。かかる状況においては、再生可能エネルギーや原子力など脱炭素効果の高い電源を最大限に活用するとともに、エネルギー安全保障を確保すること等によって、エネルギー安定供給に万全を期しつつ、脱炭素の取り組みを推進することが欠かせない。

また、脱炭素の取り組みを推進するうえでは、その達成と同時に、経済成長も実現していく必要がある。そのためには、エネルギー需給構造および産業構造の大幅な転換が重要であり、脱炭素の手段としての成長が見込まれる分野をはじめ、各産業において大規模な投資が求められる。政府の試算では、脱炭素の実現には、30年単年で約17兆円、今後10年間で150兆円の投資が必要とされる。民間投資の予見可能性を確保するための政策が不可欠である。

政府は、「成長志向型カーボンプライシングの最大限活用」と「規制・支援一体型の投資促進策の活用」を基本コンセプトとしつつ、(1)予算措置(2)規制・制度的措置(3)金融パッケージ(4)GXリーグの段階的発展(5)グローバル戦略――を軸に、22年末に向けてさらなる具体化を図っていく。また、社会基盤として、デジタル化に向けた環境整備やイノベーションの創出、初等中等教育やリカレント教育の充実による人材育成等にも取り組んでいく。

GXは産業競争力の強化につながる取り組みであり、各種制度の設計・検討にあたっては産業界からの積極的な意見を受けて、整備を進めていく。引き続き、経団連と一体となって議論を深めていきたい。

◇◇◇

懇談終了後、提言「産業技術立国への再挑戦(案)」(10月11日公表)について審議し、了承した。

【産業政策本部】

「2022年10月20日 No.3563」一覧はこちら