経団連の日本・香港経済委員会(國部毅委員長)は9月1日、第40回日本・香港経済合同委員会をオンラインで開催した。日本側からは國部委員長はじめ21社74人、香港側からビクター・チャ香港・日本経済委員長はじめ15社15人が参加した。
開会にあたり、香港側のチャ委員長は、長引くパンデミックなどにより不確実性が高まっている今だからこそ、ハイレベルの交流のプラットフォームとして、合同委員会が果たす役割はこれまで以上に重要との認識を示した。また7月1日に就任した李家超(ジョン・リー)新行政長官は国際的なビジネスハブとしての香港の繁栄に力を尽くしているとしたうえで、「一国二制度」のもと、より多くの日本企業や投資家が、香港で、あるいは香港を通じてビジネスを展開することを歓迎するとした。
國部委員長は、多様な国際ハブ機能を有し、中国やASEANへのゲートウェーである香港は、今後も重要なパートナーであり続けるとしたうえで、日本・香港間のパートナーシップを深めるには、相互理解を深めることが重要と発言。日本・香港間の往来が制限されるなかで開催される合同委員会の意義を指摘した。
続いて二つのセッションを通じて、個別テーマについて議論を深めた。まず第1セッションでは、日本と香港・中国の最新の経済情勢を取り上げた。
香港側は、サステナビリティ、テクノロジーイノベーションなどのメガトレンドによって、香港の国際金融センターとしての可能性は拡大するとの考えを示した。また、グレーターベイエリア(GBA)をハブにした香港・中国間の人材、資本、イノベーションの交流に関し、バイオテクノロジー分野の取り組みを紹介した。加えて、テクノロジーと芸術・文化を融合し、アジアのアートセンターを目指す新たな動きについて言及。参加者の関心を集めた。
日本側は、足元の日本の経済情勢や新型コロナウイルス後のわが国の経済見通しについて説明した。また、GBAにおける制度面の緩和により、ヘルスケア分野で香港の持つ機能や強みを活用する余地が拡大するとの意見が示された。
第2セッションでは、日本と香港の経済連携の推進に向けて意見を交換した。香港側は、アジアのグリーン・ファイナンス・センターを志向する考えを示すとともに、イノベーション・ハブを目指して研究開発予算を増やしていると説明した。また、香港でも地政学的な要因から強靱なサプライチェーンの構築が意識されており、地域的な包括的経済連携(RCEP)を活用した東南アジアの地域流通センターの検討状況を表明した。さらに、イノベーション創出に向けた香港の動向などが紹介された。
日本側は、香港におけるサステナブルファイナンス市場の形成に向けた取り組みを説明した。また、アジアを中心に貨物需要が拡大し、香港が主要な物流ハブの一つとされるなかで、物流における緊急時の影響を最小限に抑える方策について提言した。加えて、個別企業の枠を超えたオープンイノベーションのエコシステムの形成に注力している事例を紹介した。
【国際協力本部】