経団連(十倉雅和会長)は7月4日、韓国・ソウルで、尹錫悦大統領、5日に韓悳洙国務総理、秋慶鎬経済副総理兼企画財政部長官と会談した。これに先立ち4日午前、韓国の全国経済人連合会(全経連、許昌秀会長)首脳との懇談会を開催し、経団連側から十倉会長をはじめ5人、全経連側から許会長をはじめ20人が参加した。なお、3日の全経連主催夕食会には、朴振外交部長官が臨席した。
■ 尹大統領をはじめ韓国政府要人は、日韓関係改善に意欲
尹大統領は、「再開間もない羽田―金浦路線を利用して経団連の代表団が訪韓し、経団連・全経連首脳懇談会が3年ぶりに再開されたことは、両国間の実質的な交流活性化につながる契機になる。両国経済人は互いに信頼するパートナーとして協力してきており、韓日関係をつなぐ心強い支えである」と発言。国民各層の活発な交流に基づく二国間関係の正常化に強い意欲を表明した。韓国務総理は、「日韓は、民主主義、市場経済などの価値観を共有している。気候変動、少子高齢化など共通課題の解決のため、両国経済界の協力はもちろん、国民間の交流も活発かつ積極的に行われることを期待する」との発言があった。秋経済副総理兼企画財政部長官は、「韓国の新政権発足をきっかけに日韓関係改善に対する期待と関心が高まっており、経団連・全経連首脳懇談会が再開されたことを喜ばしく思う。両国経済界の相互交流と経済協力の活性化に向けた努力を積極的に支援する」と述べた。
■ 首脳懇では日韓経済協力の強化に向けて議論
全経連との懇談会では、これまで日韓両国の企業が培ってきた相互理解と信頼関係を基盤に、今後の連携・協力のさらなる強化に向けた方策について、テーマごとに議論した。
はじめに、日韓双方が両国の経済政策や経済界の対応を紹介するとともに、最近の経済情勢について報告した。続いて、持続可能な社会の実現に向けた日韓協力について意見を交換。グリーントランスフォーメーション(GX)やデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現が国際的に大きな課題となるなか、両国の経済界がこれらの分野で相互に協力して進めることを確認した。新たな国際秩序のもとでの日韓関係について、民主主義・市場経済といった価値観を共有する日韓の良好な関係の維持・発展は両国の発展に裨益するのみならず、北東アジアの平和と安定にも寄与するとの認識で一致した。
一連の議論を通じて、日韓双方は、1998年の「日韓共同宣言~21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」の精神を尊重し、未来志向的な関係構築に向けた協力を深化させていくことの重要性を共有。経団連と全経連が、日韓両国の経済関係の深化に役割を果たしていくことを確認し、共同声明を取りまとめた。次回の首脳懇談会は、来年、東京で開催する予定である。
【国際協力本部】