経団連の環境安全委員会(杉森務委員長、小堀秀毅委員長、野田由美子委員長)は12月22日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、山口壯環境大臣から、英国グラスゴーで開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)における日本の貢献や、今後の脱炭素化に向けた展開について説明を聴くとともに懇談した。説明の概要は次のとおり。
■ COP26における日本の貢献
岸田文雄首相は、11月1日のCOP26首脳級会合に出席し、スピーチを行った。岸田首相は、2030年までの期間を「勝負の10年」と位置付け、野心的な気候変動対策を各国に呼びかけたほか、すでに表明していた600億ドルの資金支援額への100億ドルの追加拠出や、148億ドルの適応支援の倍増などを表明した。こうしたコミットメントに対して、多くの国から高い評価が寄せられた。
また、COP26では、COP24から継続議題となっていたパリ協定第6条における「市場メカニズム」(温室効果ガスの排出削減量を国同士で取引する仕組み)の実施指針等の重要議題に合意した。私も交渉に直接参加したところ、日本側の提案したルールが打開策となるなど、これまで環境省が蓄積してきた知見や経験が合意に大きく貢献した。これにより、パリ協定のルールブックが完成したことは非常に大きな成果であり、COP26は大成功であったと考えている。
■ 今後の脱炭素化に向けた展開
次年度予算のキーワードは脱炭素である。本日、財務大臣と予算折衝を行い、国内では、「地域脱炭素ロードマップ」に基づき、地方自治体の脱炭素への取り組み支援に200億円、脱炭素化に資する事業への民間投資の呼び込みを図ることに200億円の財政投融資がそれぞれ認められた。また、海外に関しては、JCM(二国間クレジット制度)に125億円の予算がついた。
地域脱炭素ロードマップは、地域の脱炭素化と町おこしを同時に進めるプロジェクトである。1月から募集を始め、まず20~30地域を対象に開始する予定である。募集にあたっては、大臣・副大臣・大臣政務官が分担してすべての都道府県を回り、地域の理解を深めていきたい。
JCMは、パリ協定第6条の実施指針が合意されたことも踏まえ、一層活用していかなければならない。現在、17のパートナー国とJCMを構築しているが、今後、さらにパートナー国を拡大すべく、交渉を加速していく。あわせて、民間資金を中心としたJCMプロジェクト形成に向けて検討していく。
さらに、世界のESG(環境・社会・ガバナンス)資金の呼び込みも図ることで、脱炭素に向けたイノベーションを促していきたい。
【環境エネルギー本部】