経団連は12月7日から9日にかけてオンライン形式で行われたユーラシア・グループ主催「Gゼロサミット2021」を後援した。同会議では、同グループのイアン・ブレマー社長と十倉雅和会長、経済同友会の櫻田謙悟代表幹事が共同議長を務めた。十倉会長とブレマー氏の発言要旨は次のとおり。
■ 十倉会長「サステイナブルな資本主義」
世界全体で新型コロナウイルスの感染を抑えなければ誰も安全ではない。新型コロナの収束に向けて国際協調が不可欠であり、日本の役割は重要だ。
コロナ禍や気候変動等を引き起こした原因の一つは、従来の利潤追求のみを目的とする行き過ぎた資本主義である。
こうした課題は、市場原理のみでは解決できない。社会性の視座から(from the social point of view)、官民で緊密に連携することが重要である。市場機能の良い面を活用しつつ、マルチステークホルダーの利害や視点を取り入れなければならない。経団連はこれを「サステイナブルな資本主義」と呼んでおり、岸田文雄首相が目指す「新しい資本主義」と軌を一にしている。われわれは、政府と歩調を合わせて取り組みを進めていく。
あわせて、コロナ禍や気候変動などのグローバルな課題を解決するには、国際協調が不可欠である。経団連は自由で開かれた国際経済秩序の再構築を訴えている。このためには、国際的なルールづくりを進めることが重要である。経団連は政府と連携して気候変動、デジタル、通商政策等に関するルールづくりに積極的に取り組む。加えて、各国の経済団体と連携し、政府間の協調を後押ししていく。
■ ブレマー氏「テクノポーラー・モーメント」
米中は「21世紀の冷戦状態」にあるという主張もあるが、米中冷戦が起きることはないだろう。両国政府共に深刻な国内問題に直面するからだ。
両国が内政に注力することで、欧州、日本、カナダ、インドなどの政治家やビジネスリーダーたちが、世界をより平和で、安全で、豊かにしていくために活動する余地が生まれる。またテクノロジー企業も、地政学的に重要な主体となりつつある。世界は、経済的勝者と敗者、選挙結果、国家の安全保障が、政府と巨大IT企業による決定に左右される「テクノポーラー・モーメント」になりつつある。こうした新しい世界に適応するには、多国間協力や連携を強める必要がある。
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同サミットには、岸田首相がビデオメッセージを寄せたほか、萩生田光一経済産業大臣をはじめ国内外の有識者が出席し、「アジアのビジネスと経済成長の課題」「コロナ後の世界における日本の役割」をテーマに熱のこもった議論が行われた。
【国際経済本部】