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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年12月16日 No.3526 産業技術ビジョンおよび最近の研究開発政策 -産業競争力強化委員会企画部会

経団連は11月29日、産業競争力強化委員会企画部会(地下誠二部会長)をオンラインで開催した。経済産業省産業技術環境局研究開発課の遠山毅課長から、わが国の産業技術の方向性について取りまとめた「産業技術ビジョン2020」等について説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

■ 産業技術ビジョン策定の背景

2050年の世界を展望するにあたり、(1)世界人口のピークアウト(2)SDGs(持続可能な開発目標)やサーキュラーエコノミーの達成(3)デジタル経済への移行(4)地政学的リスクの高まり(5)レジリエンス強化――の5つは、避けられない潮流である。

この潮流に合わせて、諸外国は、圧倒的な規模とスピードで変化している。米国や中国では、IT系スタートアップから急成長したメガプラットフォーマーがイノベーションを牽引し、欧州は、先んじて価値観を転換して、ルール形成を図っている。一方、日本は、グローバルな環境変化や技術の進展に対応できていない。

■ 産業技術ビジョン

日本が、世界の潮流に適応し、より一層イノベーションを創出するには、知的資本(知的財産等をはじめとしたいわゆる無形資本)の活用を基盤とした知的資本主義経済へ移行しなければならない。

「産業技術ビジョン2020」では、知的資本主義経済への移行を中長期的に目指す姿の1つとして見据え、対応の方向性を3つのレイヤーに分けて示した。まず、(1)「個」の解放によるイノベーション力の強化である。スタートアップエコシステムの形成など、知的資本供給のための仕組みづくりを行う。続いて、(2)技術至上主義から脱却し、レイヤーマスター(特定の業務や機能での強みの発揮)を目指す研究開発など、戦略的な研究開発の重視である。そして、(3)デジタル、バイオ、マテリアル、エネルギー・環境テクノロジーの4分野にR&D投資を集中することである。今後、情報通信量や処理量の爆発的増加が見込まれるため、特にデジタル分野に焦点を当てている。

Society 5.0を実現するにあたり、デジタル基盤となる次世代コンピューティング技術は不可欠である。自動運転や遠隔医療が実現し、膨大なデータがネットワーク上を飛び交うようになると、すべてのデータを限られたクラウドで処理することが難しくなる。その解決策として、中小クラウドやエッジコンピューティングによる分散クラウドの実現が考えられる。

産業技術総合研究所では、次世代コンピューティング基盤開発拠点を形成し、こうした社会を見通した技術開発を行っている。

■ 日本の研究開発の将来像と方向性

社会課題解決には、長い時間を要する。一方、日本の少子高齢化の進展等を見据えると、25年ごろが1つのターニングポイントとなる。今後も世界の変化に臨機応変に対応しながら、25年と次の30年という2つの時間軸で将来像をレビューし、そこからバックキャストをして、要素技術の実現に取り組んでいく。

今後も、産業構造審議会研究開発・イノベーション小委員会に設置したワーキング・グループで、産業技術ビジョンを実現するための方策を議論していく。

【産業政策本部】

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