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Action(活動) 週刊 経団連タイムス 2021年11月18日 No.3522 新型コロナの影響と主要産業の見通し -経済財政委員会企画部会

経団連は10月21日、経済財政委員会企画部会(中島達部会長)をオンラインで開催し、みずほ銀行産業調査部の定岡祐二副部長と同総括チームの田村匠氏から、「新型コロナウイルスの影響と主要産業の見通し」について説明を聴いた。概要は次のとおり。

■ 感染動向と経済正常化の行方

世界の新型コロナの感染者数は、デルタ株の蔓延により今夏に急増したが、ワクチン接種が進展し、8月末ごろを境に減少傾向に転じた。米国をはじめ、ワクチン接種が進むなかで経済正常化を進める国々では、巣ごもり需要が一服する一方、抑制されてきたサービス消費の拡大が示唆されている。今後日本においてもサービス消費の回復、とりわけ高価格帯サービスによる底上げが期待される。

他方、新たな変異株の発生のほか、ワクチン接種後のブレークスルー感染や免疫力の減弱といった、ワクチンの限界も想定される。経済正常化に向けて、ワクチン接種証明の活用や検査体制の拡充、治療薬の開発などの取り組みが重要となる。ただし、重症病床の積み増しは、人員不足などの要因により、2022年1月時点で従来比1.1倍程度の増床にとどまる可能性もあるとみている。

■ 主要産業の見通し

多くの国内産業の需要は、22年中にコロナショック前の水準にほぼ戻ると見込まれる。特に半導体や工作機械等は、国内外の旺盛な需要を背景に、一層拡大していくことが期待される。他方で、人口減少・少子高齢化、テレワークの定着といった中長期的な構造変化が、幅広い産業の需要に影響を及ぼす懸念がある。

コロナ禍の長期化で下押し圧力がかかる対面型サービス業のうち、外食では、テークアウト利用の多いファストフードの影響が軽微な一方、酒類を提供する業態で依然として苦しい状況が続いている。コロナ禍を機に感染症対策への関心が高まっていることから、今後のペントアップ需要(外出規制などでいったん抑え込まれた需要)を取り込むためには、安心・安全な店舗整備への投資が求められるだろう。

宿泊業は、経済正常化に伴い、まず国内需要が盛り返し、インバウンドも徐々に回復することが期待される(図表参照)。ただし、ウェブ会議等が普及した結果、ビジネス需要はコロナショック前の水準まで回復しない可能性がある。

航空業界は、貨物輸送が好調であるものの、売上シェアの大部分を占める旅客輸送の本格回復が遅れていることから、業績は全体として赤字が続く見込みである。

鉄道は、今後レジャー需要の牽引が期待されるが、テレワークやEC利用の浸透が都市内移動の需要を下押しする圧力となるほか、ウェブ会議の普及が都市間移動のビジネス需要を減少させる可能性がある。

不動産についても、テレワークの浸透による需要減少が懸念され、足元でも東京の中心部5区では空室率の上昇と賃料下落が生じている。ただし、本社環境整備のための面積バッファーの確保やサテライトオフィスの整備も進むとみられるため、全体のオフィス総床需要へのインパクトはマイルドになると考えられる。

【経済政策本部】

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