経団連の佐藤義雄ヨーロッパ地域委員長、清水章同企画部会長は10月13日、来日中のアマンダ・ミリング英国外務国際開発省アジア担当国務大臣と都内で懇談した。ミリング大臣の発言概要は次のとおり。
■ インド太平洋地域における連携および英国のCPTPP加盟
英国政府は今年3月、今後10年間の安全保障および外交政策を包括的にまとめた「統合レビュー」を公表し、インド太平洋地域に重点を置く姿勢を打ち出した。今般の英海軍最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を中核とする空母打撃群のインド太平洋への派遣は、英国の同地域における関与の強化を象徴するものである。関係各国と軍事演習を行っており、9月には日本に寄港した。空母打撃群の帰港後も、英国は同地域におけるプレゼンスを維持し、日本を含むパートナー国との協力を深化させていく。同地域における具体的な協力分野として、安全保障、貿易、保健、技術などが挙げられ、日本経済界との連携が不可欠だと考えている。貿易について、英国政府は現在、同地域への関与強化の一環として、環太平洋パートナーシップ協定に関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)への加入を進めており、日本経済界からのサポートを心強く思っている。早期加入の実現に向け、引き続き経団連と連携していきたい。
■ 気候変動対策
COP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)の開催を約3週間後に控えるなか、気候変動という世界共通の地球規模課題に対処するため、国際的な協調が不可欠である。英国は、COP26議長国として、すべての関係国と協議を進めており、日本においても脱炭素化やグリーン成長が優先課題として据えられていることを歓迎する。新型コロナウイルスからのより良い回復を実現するにあたり、グリーン経済への移行がカギであり、ネットゼロに向けたイノベーションを促進していくことが重要である。日英両国はともに2050年までにカーボンニュートラル(CN)達成を掲げており、洋上風力など、CN実現に不可欠な低炭素技術への投資について、日英間の連携を期待している。インド太平洋地域におけるグリーン政策の推進や技術開発についても、日英協力を深化させていきたい。
【国際経済本部】