地域経済活性化委員会企画部会(徳川斉正部会長)は、地方創生の実現に向けた経済界のアクションのあり方について検討を進めている。9月21日の会合では、スポーツを通じた交流人口や関係人口の創出、災害に強い地域づくりをめぐり講師から説明を聴いた。
初めに、ジャパンラグビートップリーグの東海林一専務理事が、ラグビーを通じた地域経済活性化について講演した。
東海林氏は、国内リーグの改革により来年1月にスタートする新リーグ「ジャパンラグビーリーグワン」の目的について、(1)地域に根差したチーム活動の実現(2)収益化による財政面での自立――であると述べた。この目的の実現のためには、ラグビーファンだけでなく、地域の住民を地元チームのファンにしていくことが不可欠であることから、新リーグの理念を「みんなのために“FOR ALL”」にしたと説明。地元の自治体や金融機関、大学・研究機関、参加チームの母体企業、経済界と一緒に、スタジアムなどを活かしながら地域課題の解決に取り組むことで、地域へ貢献するとの決意を示した。
続いて、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)の明城徹也事務局長が登壇。被災地支援における「中間支援組織」として、被災地支援におけるNPO等との調整を図ってきた経験を踏まえつつ、地域の災害対応力を強化する仕組みづくりについて講演した。
明城氏は、2016年の熊本地震への対応において、(1)支援関係者参加のもと設置した「情報共有会議」によるJVOADと熊本県・熊本市、社会福祉協議会等との連携(2)「中間支援組織」の設立――などが進み、地域の災害対応力が進化するきっかけになったと紹介。
また、これらの民間の動きを契機に、国の防災基本計画においても、「中間支援組織の構築の必要性」や「行政・NPO・ボランティア等の三者連携による防災ボランティアの活動環境ならびに情報共有会議の整備・強化の推進」が謳われるようになったと説明した。
一方で、全国的にみれば、災害支援の担い手不足をはじめ課題は山積しており、コロナ禍においては、域外からの人的支援の確保が一層困難になっていると指摘。地域における行政、住民、NPO、企業とその社員の参画のもと、平時から災害に備え、地域の災害対応力を一層強化することが重要と訴えた。あわせて、こうした活動の持続可能性を高める観点から、基金を設立する計画があることを紹介した。
【産業政策本部】