経団連は9月1日、今年のG20ビジネス・サミット(B20)議長であるB20イタリアと合同会合をオンラインで開催した。200名が参加し、B20イタリアの政策提言について、日本政府や会員企業に説明するとともに意見交換した。概要は次のとおり。
■ G20の協調を促す経済界の声
冒頭、経団連を代表してあいさつした早川茂審議員会副議長は、コロナ禍にあり国際協調が求められるなか、G20の役割はかつてないほど重要であると指摘した。そのうえで、B20の提言がG20各国リーダーの協調を促すカタリスト(触媒)になることを期待すると述べた。
続いてあいさつしたエンマ・マルチェガリアB20イタリア議長は、デジタル革新、エネルギー・資源効率性、貿易・投資などの9分野のタスクフォースなどで、38回にわたってビデオ会議を開催し、コンセンサスを得て政策提言をまとめたことを紹介。また、G20との合同会合を9回開催するなど、積極的に政府へ働きかけていると強調した。
■ 新型コロナ対応、ポストコロナの課題の処方箋
続いて、感染症対策にかかわる「ヘルス・ライフサイエンス」、ポストコロナの成長の柱として注目されている「デジタル革新」と「エネルギー・資源効率性」、自由で開かれた国際経済秩序の核となる「貿易・投資」の4分野に関し、タスクフォースの共同議長など主要メンバーが政策提言を紹介した。
これらを踏まえ、来賓として外務省の鈴木浩外務審議官(G20シェルパ)があいさつ。G20サミットの準備を進めるうえで、B20の具体的かつ実践的な提言を大いに参考にすると述べた。また、新型コロナ対策のカギを握るワクチン普及に関しては、日本政府として、(1)資金拠出(2)現物供与(3)ラスト・ワン・マイル支援――の3本柱で世界の取り組みに貢献するとした。コロナ禍を契機に加速するデジタル化に関しては、日本は、DFFT(信頼性のある自由なデータ流通)の具体的なルールづくりを引き続き力強く推進していくと強調した。さらに気候変動に関しては、さまざまな取り組みを通じてリーダーシップを発揮すると述べた。
■ 経済回復のカギを握る人の往来
続く質疑応答でも活発に意見が交わされた。国際的な人の移動の再開に関し、片野坂真哉副会長は、ワクチン接種証明・陰性証明等を活用して共通の基準を設けるべきとのB7の主張がG7首脳声明に反映されたと紹介したうえで、B20の取り組みについて質問した。これに対し、B20イタリアのシェルパは、貿易・投資の提言で同様の主張をしており、G20にもしかるべく働きかけていくと回答した。
【国際経済本部】