経団連は7月15日、VRF(価値報告財団)との懇談会をオンラインで開催し、VRFのケイティ・シュミッツ・ユーリット投資家担当ディレクターから、米国サステナビリティ会計基準審議会(SASB)と国際統合報告評議会(IIRC)の統合によって設立されたVRFの活動について説明を聴いた。経団連の金融・資本市場委員会ESG情報開示国際戦略タスクフォース、企業行動・SDGs委員会企業行動憲章タスクフォース、企業市民協議会から、90名超が参加した。説明の概要は次のとおり。
■ VRF設立の背景
パンデミックや気候変動、格差の拡大が世界規模で進行するなか、「サステナビリティ」の重要性が高まっている。資本市場においても、証拠に基づいた透明なサステナビリティ報告への要請が強まっている。
一方で、現状では、サステナビリティ報告基準が乱立しており、統一化・簡素化の要請が高まっている。IFRS財団においては国際的に統一された報告基準づくりのための国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)を設置する動きがあるし、IIRC・SASBを含めたサステナビリティ報告基準を設定する5団体が連携して「気候変動財務開示基準プロトタイプ」を開発する動きがあった。IIRC・SASBも、企業・投資家のための包括的で一貫した企業報告システムを構築すべく、2つの組織を統合して、6月にVRFを設立した。
■ VRFの活動
IIRCの「統合報告フレームワーク」は、業種横断的に、原則主義に基づく統合的な企業報告フレームワークを提供している。一方、SASB基準は、11セクターの77業種別に、将来的な財務インパクトが高いと想定されるESG(環境・社会・ガバナンス)要素に焦点を当てた個別的な基準を提供している。VRFの設立以降も、統合報告フレームワークとSASB基準を維持し、両者により、投資家および資本市場関係者に対する企業価値開示のグローバルなベースラインを提供する。VRFは、両者を一緒に活用するためのガイドラインを整備する。
VRFは、IFRS財団におけるISSBの設立にも引き続き関与していく。VRFは、将来のISSBの基準開発をサポートするためにIFRS財団内に設置されたワーキング・グループに参画している。同ワーキング・グループでは、IIRCおよびSASBも開発にかかわった「気候変動財務開示基準プロトタイプ」の改良版を開発しており、間もなく公開草案を公表する予定である。また、VRFは、ISSBの議長・副議長の公募にも数名の人材を推薦している。
【経済基盤本部】