経団連の産業競争力強化委員会(橋本英二委員長、南場智子委員長、岡藤正広委員長)は7月7日、経済産業省との検討会を開催した。
経産省の藤木俊光製造産業局長から、「ポストコロナを見据えた経済産業政策」について、製造産業局の重点施策を中心に説明を聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。
■ 製造業のニューノーマル
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大をはじめ、サプライチェーンのリスクとなる「不確実性」は高まる一方である。
加えて、世界各国でカーボンニュートラルやデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みが加速している。
わが国製造業がニューノーマルを生き残るには、(1)デジタル化(2)レジリエンスの強化(サプライチェーンの再構築)(3)グリーン社会への転換――に重点的に取り組む必要がある。
■ レジリエンスの強化
新型コロナにより、サプライチェーンの脆弱性があらためて露呈した。自然災害への対応力を高めるうえで、事業継続計画(BCP)を策定する企業は年々増加していたが、一方で、東日本大震災以降も調達先の把握は大半の企業において不十分であった。
世界的な「不確実性」が高まるなか、自社の被害想定だけではなく、サプライチェーン全体を俯瞰し、調達先の分散等、多面的なリスク対応を通じてレジリエンスを強化する必要がある。また、こうした対応が、非常時における迅速な対応に大きく寄与する。
■ グリーン社会への転換
わが国は「経済と環境の好循環」を実現するため、2050年までのカーボンニュートラルを目指すと宣言した。
実現に向けては、各産業の革新的イノベーションを推進し、製造工程を大きく転換させることが必要である。これを後押しするために、昨年、重点分野における技術開発や社会実装を支援する2兆円のグリーンイノベーション基金を創設した。
■ カーボンニュートラルの挑戦にあたって
カーボンニュートラルは新たな国際経済秩序形成の動きである。わが国が、この大競争で勝ち抜くには、国際的な基準づくりや、技術開発で世界をリードしなければならない。日本は再生エネルギーのコストが高いなど不利な面もあるが、カーボンニュートラルを成長のチャンスととらえて、戦略的に対応していくことが不可欠である。
【産業政策本部】