経団連の行政改革推進委員会(筒井義信委員長、時田隆仁委員長)は4月12日、河野太郎内閣府特命担当大臣(規制改革)との懇談会をオンラインで開催し、規制・制度改革における課題をめぐり意見交換した。
冒頭、筒井委員長は、「Society 5.0実現のカギとなるのは、デジタルトランスフォーメーション(DX)と規制・制度改革」と述べたうえで、「イノベーションを阻害するあらゆる規制を抜本的に見直し、技術の進歩に柔軟かつ迅速に対応できる規制体系とすることが必要」と指摘した。
続く懇談では、佐藤康博副会長、山内隆司副会長はじめ行政改革推進委員会委員から、新型コロナウイルス感染症対策、DX、カーボンニュートラル、デジタルガバメントといった切り口から、規制・制度改革における残された課題について提起がなされた。
これを受けて河野大臣は、「デジタル時代にそぐわない規制・制度を抜本的に見直し、デジタル化を強力に推進したい」と強調し、具体的な取り組みについて説明した。説明の概要は次のとおり。
■ DXの推進
必置・常駐・専任要件については、デジタル技術の進展も踏まえて各省庁に関係する法制度の洗い出しを求めるとともに、必要性を問い合わせている。すでに緩和に向けて前向きな回答を得た分野もあり、引き続きしっかり取り組みたい。また、医療分野でのデジタル技術の活用が重要であり、制度整備と医療の産業化を推進していく。
■ カーボンニュートラルの実現
海外大手企業から再生可能エネルギーを100%とするよう求められつつある。この危機感を踏まえ、日本企業がグローバルなサプライチェーンで生き残るため、専任のチームを設置してスピード重視で関連規制の見直しに取り組んでいる。太陽光発電パネル等の設置に向けた立地制約の解消、建築物・住宅の脱炭素化に向けた断熱基準の義務化等の施策を進めたい。
■ デジタルガバメントの早期実現
書面・押印・対面原則については、行政手続きにおける認印の全廃やオンライン化目標の策定が進展した。今後は、残る押印に代わる電子認証の導入、使い勝手の悪いオンラインシステムの見直しに取り組む。
また、マイナンバーの活用促進に注力し、スマートフォンからあらゆる手続きが可能となるようにしたい。新型コロナのワクチン接種にあたり、マイナンバーでひも付け可能な管理システムを導入したところ、反対意見も寄せられた。経済界からもマイナンバーの利用促進やデジタル化のメリットについて発信してほしい。
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最後に、時田委員長が、4~5月にかけて、全経団連会員企業・団体を対象として規制改革要望の提案調査を実施する旨説明し、「河野大臣が掲げる『人が人に寄り添う社会』を実現すべく、経済界として建設的な規制改革を提案していく」と締めくくった。
【産業政策本部】