経団連(中西宏明会長)の山西健一郎副会長と小宮山利恵子イノベーション委員会エドテック戦略検討会座長は3月31日、萩生田光一文部科学大臣を訪問し、3月16日に公表した「Society 5.0時代の学びⅡ~EdTechを通じた自律的な学びへ」(3月18日号既報)を建議した。
■ 提言策定の背景
経団連は2019年11月に「Society 5.0時代の人材育成に向けた義務教育の抜本的ICT化を求める緊急提言」、20年3月に提言「EdTechを活用したSociety 5.0時代の学び」を公表し、さらに同年9月と11月の緊急提言でEdTechの活用に必要なハード・ソフト・人材面のインフラ整備を求めてきた。こうしたなか、文部科学省のGIGAスクール構想の前倒し実施により、今年3月中に小中学生一人につき一台の端末の整備が概ね完了した。今後は端末の活用を含めたEdTechの活用を推進することによって、Society 5.0時代の新たな学びを実現していく必要がある。こうした背景を踏まえ、今回は、Society 5.0時代の学びの姿とその実現に向けたロードマップを示し、幼児から社会人まですべての学習者が自律的な学びを実現できるよう、各主体の役割と必要な環境整備を提言している。
■ 提言手交における意見交換
山西副会長は、まず一人一台端末の整備に対し、経済界として歓迎の意を表した。そのうえで、これを有効に活用して従来の画一的な教育をSociety 5.0時代の自律的な学びへと転換し、協働力や問題発見能力、課題解決能力などの能力や資質を育むことの重要性を訴えた。
小宮山座長は、提言の概要を説明するとともに、EdTechを活用した教育現場の改革に向けて、教員の端末の利用制限の緩和や教員のICT活用研修の充実の必要性を強調した。
これに対し、萩生田大臣は、整備した端末をどのように活用していくかが課題であり、今後しっかりとフォローしつつ、データの利活用にも積極的に取り組みたいと発言。また、授業等でのICT活用を推進すべく、OB・OGを含めた企業人材による教員のICT活用支援など、産業界からのさらなる協力を求めた。
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経団連は、引き続き政府・教育現場との連携を深め、提言の実現に向けた活動を展開していく。
【産業技術本部】