経団連は2月16日、金融・資本市場委員会資本市場部会(松岡直美部会長)をオンラインで開催し、企業のガバナンス向上を目指したグローバルな機関投資家の団体であるICGN(International Corporate Governance Network)に加盟する欧州の投資家10社と、日本企業のガバナンスについて意見交換を行った。
足もとでは金融庁の「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」においてコーポレートガバナンス・コードの再改訂に向けた議論が行われており、年度内に最終意見書の取りまとめが予定されている。松岡部会長はICGNのケリー・ワリングCEOと共に同会議のメンバーを務めている。
16日の同部会では、コーポレートガバナンス・コード再改訂における論点を中心に意見交換した。
欧州投資家らは、取締役会の役割は経営の監督であり、社外取締役を中心とした独立性のある取締役会の構成が求められると強調。その観点から、取締役会議長には社外取締役を置き、特に欧州では、議長と執行のトップである社長・CEOを分けることが望ましいとの考えが支配的と説明した。
また、投資家をはじめとする多様なステークホルダーの声を取締役会に反映することが重要であり、そのためにもジェンダーを含めた多様性に富んだ取締役会が求められると強調。社外取締役となる人材を増やすためにも、例えば他社の経営者に目を向けることや、幹部クラスで女性を登用することが重要であると指摘した。
日本企業側は、特に2014年のスチュワードシップ・コード導入以降、日本企業のガバナンスも急速に進展していること、各社が、日本独自の仕組みである監査役会設置会社による工夫を含め、自社の機関設計や背景、考えのなかで最適なガバナンスを模索していることなどについて、各社の具体的な取り組み事例を交えながら説明し、一定の理解を得た。また、参加企業・投資家双方の共通の認識として、議決権行使については形式的な基準に基づいて行うのではなく、情報開示や対話が重要であることを確認した。
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経団連は19年6月に、経営者と海外投資家との間の関係構築やナレッジ・ビルディングを目的に、ICGNと覚書を締結しており、経団連では今後もオンラインでの意見交換やミッションの派遣など、海外投資家との対話を深めていく。
【ソーシャル・コミュニケーション本部】