日本において女性活躍を推進するためには、男女問わず就業前の教育段階から、継続就労を前提とした具体的なライフプランやキャリアプランを描くことができるよう「キャリア教育の充実」を図ることが重要である。このような認識のもと、経団連は一昨年公表した「女性活躍アクション・プラン」において、企業や大学との緊密な連携を図り、大学に対する企業からの講師派遣を取り組み課題の1つとして掲げた。11月8日、清水建設と法政大学の協力により、法政大学キャリアデザイン学部で、清水建設人事部ダイバーシティ推進室長の西岡真帆氏を講師として、「清水建設におけるダイバーシティ経営の取り組み」に関する特別授業を実施した。
西岡室長の講演概要は次のとおり。
建設業界は、技術革新やグローバル化が進むなか、長時間労働など、これまでの男性を中心とする働き方では立ち行かなくなることは目にみえており、社会変革や産業構造変革への対応が急務である。そこで、2009年から経営トップ主導で「ダイバーシティ経営」を推進することとなった。
当社が考えるダイバーシティ経営とは、多様な人材を活かし、その能力を最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげていくことである。ダイバーシティの観点でいうと、建設業界では少ない女性の活躍を促進するためさまざまな取り組みを行っている。例えば、女性従業員を一堂に会しての社内研修「女性活躍推進フォーラム」や、建設業界で初めてイクボス(注)を表彰する「イクボスアワード」を開催するなど、現場の意識改革に力を注いでいる。女性の働きやすい会社は、男性も働きやすい会社なので、男女問わず建設業界に興味を持ってほしい。
なお、講義終了後、受講者たちからは、「建設業界=男性社会というイメージが変わった」「女性だけではなく、男性の上司向けにも研修があると聞いて、全社でダイバーシティ経営に取り組んでいると感じた」等、さまざまな感想が寄せられた。
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経団連では、今後も大学の要請を踏まえ、企業人の講師の派遣を行っていく予定である。
(注)イクボス=部下の私生活とキャリアを応援するとともに、自らもワーク・ライフ・バランスを実践し、生産性向上等による働き方改革に積極的に取り組む役職者
【政治・社会本部】